数学入門のための本 (1997/07/09)



<概要>

  1. ジャンル
  2. 数学関係の本は、だいたい以下のようにジャンル分けできます。

    一般的な分類で云うなら、前者はいわゆる理系向け、後者は文系向け、となるかもしれませんが、
    特に決めつけるつもりはありません。
    こういった二元論にとらわれず、いろいろ読んでみると、新しい発見があると思います。

  3. 著者
  4. 以下の著者の本は、だいたいあたりはずれがない。

  5. 出版社・シリーズ
  6. 等のどれか。

  7. 個別タイトル
  8. それぞれ、上の分類のどれにあてはまるでしょうか?

    足立 恒雄『フェルマーの大定理が解けた!』

    数学的にはこれが一番わかりやすかった。

    岡本 龍明、太田 和夫『暗号・ゼロ知識証明・数論』

    電話でジャンケンをする方法……?

    小島 寛之『数学迷宮』

    いろいろ文体も凝っている(DJ風とか)。

    高木 貞治『近世数学史談』

    いまさら、ちょっと古いような気もするが。この本をネタ本にしているものが数多く存在する。

    富永 裕久『フェルマーの最終定理に挑戦』

    私が読んだ本の中ではこれが一番わかりやすかった。ただし、誤植がすごく多い。

    野崎 昭弘『詭弁論理学』『逆説論理学』

    普通の人はこれを数学とは思ってくれないかもしれない。
    非数学系の人に一番受けるかも知れない。

    藤原 正彦『若き数学者のアメリカ』『数学者の言葉では』

    私が初めてアメリカに行ったとき、結構この本を意識した。

    「数学関係の人間は、いかなる状況にあろうとも、
     一度ある問題が頭に浮かんできたら、それを振り払うことができず、
     表面は、例えば会議に参加しているように見えるが、
     頭の中では全然別のことを考えている。」

    ということを、この本は暴露してしまった(黙っていれば解らないのに)。

    イアン・スチュアート『数学の冒険』

    できれば原書『The Problems of Mathematics』の方がよい。
    今出版されている日本語訳は、原書より古いので情報がいろいろ欠落している。

    ウィリアム・パウンドストーン『ライフゲイムの宇宙』

    ライフゲームの紹介に留まらず、いろいろな話題を扱っている。

    マーチン・ガードナー『数学ゲームI・II』(講談社ブルーバックス)

    入手もしやすいし、内容豊富だし、これが一番おすすめか。

    ロバート・カーニゲル『無限の天才』

    天才数学者ラマヌジャンの伝記。
    ハーディが無名のインド人から手紙を受け取り、
    その、見たこともない、あっているのかまちがっているのか検討もつかない、
    しかし、普通なら絶対思いつかないので、ゆえに正しいであろう、
    という式の数々を眺めたあと、
    『オイラーかヤコビクラスの、まさしく超一流の数学者だ』
    と断定するくだりは、何回読んでも興奮する。

    読書記録から拾ってきたのですが、意外に少ない。
    強烈な印象を受けた本が、もっといっぱいあるはずなのだが、どうも欠落している。
    読書記録及び日記で、中学2年以降に読んだ本は、完全にトレースできるのですが、
    そこから漏れているということは、やはりそれ以前、
    子供頃に受けた印象が最も鮮烈だったということなのでしょう。

    例えば、子供の頃、偶然手にした本で、

    
            1×1        =        1
           11×11       =       121
          111×111      =      12321
         1111×1111     =     1234321
        11111×11111    =    123454321
       111111×111111   =   12345654321
      1111111×1111111  =  1234567654321
     11111111×11111111 = 123456787654321
    111111111×111111111=12345678987654321
    
    のような式を目撃したら、もう一生、数学の魅力から逃れることはできないと思います。

  『枕草子*砂の本』  

E-mail : kc2h-msm@asahi-net.or.jp 三島 久典