海外SF傑作選

福島 正実 編 講談社文庫
<概要>
 

時と次元の彼方から

(1975/05/15 第1刷)

もし時間を自由に旅行できたら。
もしも異次元が眼前に展けたなら……。
非現実の世界へと我々を飛翔させる11の翼。

All the Time in the World
時間がいっぱい
Sir Arthur Charles Clarke
アーサー・C・クラーク
深町真理子 訳
And He Build the Crooked House
歪んだ家
Robert Anson Heinlein
ロバート・A・ハインライン
吉田誠一 訳
Time Patrol
タイム・パトロール
Poul William Anderson
ポール・アンダースン
稲葉明雄 訳
Tiger by the Tail
虎の尾をつかんだら
Alan Edward Nourse
アラン・E・ナース
中尾明 訳
Exile
追放者
Edmond Hamilton
エドモンド・ハミルトン
斎藤伯好 訳
What if ……
もし万一……
Isaac Asimov
アイザック・アジモフ
小笠原豊樹 訳
The Other Now
もうひとつの今
Murray Leinster
マレイ・レンスター
斎藤伯好 訳
Child's Play
クリスマス・プレゼント
William Tenn
ウィリアム・テン
福島正実 訳
Tourist Trade
観光案内
Wilson Tucker
ウィルスン・タッカー
中上守 訳
Play Back
プレイ・バック
J. T. McIntosh
J・T・マッキントッシュ
福島正実 訳
Castaway
漂流者
A. Bertram Chandler
バートラム・チャンドラー
南山宏 訳

2007/05/04 再読。
今(2007年)このようなアンソロジーを見ると、やはり、
グレッグ・イーガンの時間ものの短編が入っていて欲しい、という気になってくる。
特に、『プレイ・バック』とか『漂流者』のような、タイムパラドックス物を どのように処理するか読んでみたい。

は、完全に中味を忘れていた。
『もし万一 ……』アイザック・アジモフは、星新一の作品のような感じ。
『歪んだ家』ロバート・A・ハインラインは、今出ている短編集に収録されていないとすれば
もったいない。

 

破滅の日

(1975/05/15 第1刷)

ある日ある時、この地球が大異変によって消滅する!
破滅の淵に立たされた人類の赤裸々な姿をSFの鬼才が描く7編

Rescue Party
太陽系最後の日
Sir Arthur Charles Clarke
アーサー・C・クラーク
宇野利泰 訳
Lot
ロト
Ward Moore
ウォード・ムーア
浅倉久志 訳
The Year of Jackpot
大当りの年
Robert Anson Heinlein
ロバート・A・ハインライン
福島正実 訳
The Last Day
終りの日
Richard Matheson
リチャード・マティスン
福島正実 訳
Last
夏は終りぬ
Alfred Coppel
アルフレッド・コッペル
小笠原豊樹 訳
The Leech
ひる
Robert Sheckley
ロバート・シェクリイ
宇野利泰 訳
On The Care And Breeding Of Pigs
豚の飼育と交配について
Rex Jatko
レックス・ジャトコ
斎藤伯好 訳

2007/05/25 再読。
『太陽系最後の日』は覚えていたが、後はほとんど記憶無し。
『ロト』は、最近この近くによく出張で行くので、道路の名前とか、 どの辺の場所か検討がつくので、独特の感慨がある。あんまり、SFという感じではない。 C.L.ムーアの別名とは知らなかった。
『大当りの年』は、全てが一致する、という基本のところは覚えているが、 どのような災厄が来るか、というところは覚えていなかった。読後の今でも、記憶が希薄である。 (それだけインパクトがない、ということか)。
『終りの日』は、気温がどんどん上がっていくが実は、という別の小説と勘違いしていた。 この話では、あくまでも気温が上がることが破滅につながる。
そして次の『夏は終わりぬ』もやはり気温が上がるので、これか、と思ったが違った。 「気温がどんどん上がっていくが実は」の話は、今後別の短編集で出てくるのだろう。
『ひる』は、最後の、太陽に飛ばす所だけは覚えていたが、後は全然記憶に無い。
『豚の飼育と交配について』についても全然覚えていない。

一応、目次の所に全部チェックマークがあるが、本当に読んだのだろうか?
これだけ忘れているということは、昔読んだ小説を読み返すと、いろいろ発見があるかも知れない。 例えば、夏目漱石なんかは、ほとんど中学生の時に読んだので、今読むと登場人物と年齢も近いので、 別な感じ方をするかも知れない。

 

未来ショック

(1975/07/15 第1刷)

凄まじい加速で先へ先へと突っ走る物質文明。
人類は果して未来の衝撃に耐えうるか。
ここに8つの戦慄すべき答がある。

The Road Must Roll !
走れ、走路
Robert Anson Heinlein
ロバート・A・ハインライン
中上守 訳
The Deep Range
海底牧場
Sir Arthur Charles Clarke
アーサー・C・クラーク
高橋泰邦 訳
Veld
草原
Ray Bradbury
レイ・ブラッドベリー
小笠原豊樹 訳
Dreaming Is a Private Thing
夢を売ります
Isaac Asimov
アイザック・アジモフ
田中融二 訳
Crisis 1999
1999年
Fredric Brown
フレドリック・ブラウン
都筑道夫 訳
Skulking Permit
徘徊許可書
Robert Sheckley
ロバート・シェクリイ
伊藤典夫 訳
F ……
ショク……
Richard Matheson
リチャード・マティスン
中上守 訳
The Evitable Conflict
災厄のとき
Isaac Asimov
アイザック・アジモフ
小尾美佐 訳

2007/06/08 再読。
『夢を売ります』『災厄のとき』は、全然覚えてなかった。
『1999年』がフレドリック・ブラウンの作品とは意外。

 

千億の世界

(1975/07/15 第1刷)

高度の知性をもつ宇宙人と地球人が遭遇すれば……。
SFの長い歴史で最も伝統を誇り輝ける作品群をうんだ宇宙SF。

Сердце Змеи
宇宙翔けるもの
Иван Ефремов
イワン・エフレーモフ
袋一平 訳
First Contact
最初の接触
Murray Leinster
マレイ・レンスター
伊藤典夫 訳
Odin
宇宙の漂泊者
Александр Колпаков
アレクサンドル・コルパコフ
袋一平 訳
Genesisi
創世記
Henry Beam Piper
H・ビーム・パイパー
浅倉久志 訳
Black Destroyer
黒い破壊者
Alfred Elton van Vogt
A・E・ヴァン・ヴォクト
浅倉久志 訳
Desertion
逃亡者
Clifford Donald Simak
クリフォード・D・シマック
福島正実 訳

2007/08/05 再読。
『宇宙の漂泊者』以外は全部覚えている。
『最初の接触』は、今読むと、何故解決になっているのかよくわからない。

 

人間を超えるもの

(1975/08/15 第1刷)

機械と人間を対置させ現代文明における宿命的な両者の関係を
斬新な手法と独特の視点から抉り、文学的解明を試みる。

April 2026 : The Long Years
長かりし年月
Ray Bradbury
レイ・ブラッドベリ
小笠原豊樹 訳
House Dutiful
生きている家
William Tenn
ウィリアム・テン
小尾美佐 訳
Letter to Ellen
エレンへの手紙
チャン・デーヴィス 林克己 訳
Helen o'loy
愛しのヘレン
Lester del Rey
レスター・デル・リイ
福島正実 訳
Liar !
うそつき
Isaac Asimov
アイザック・アジモフ
小尾美佐 訳
Impostor
にせ者
Philip K. Dick
フィリップ・K・ディック
福島正実 訳
Journey's End
旅路の果て
Poul William Anderson
ポール・アンダースン
稲葉明雄 訳
Ararat
アララテの山
Zenna Henderson
ゼナ・ヘンダースン
深町真理子 訳
The Dark Angel
黒い天使
Lewis Padgett
ルイス・パジェット
福島正実 訳
Children of the Atom
アトムの子ら
Wilmar H. Shiras
ウィリアム・H・シラス
小笠原豊樹 訳
Report on the Barnhouse Effect
バーンハウス効果
Kurt Vonnegut, Jr.
カート・ボネガット・ジュニア
中尾明 訳

2007/09/07 再読。
『長かりし年月』『うそつき』『アララテの山』『アトムの子ら』『バーンハウス効果』 は良く覚えている。
『エレンへの手紙』と『愛しのヘレン』はタイトルが似ていて混同していたが、 覚えていたのは『愛しのヘレン』の方で、『エレンへの手紙』は覚えていなかった。
『にせ者』『黒い天使』は全然覚えていなかった。
『旅路の果て』は全然別の話と勘違いしていた。

 

不思議な国のラプソディ

(1976/04/15 第1刷)

現実の世界では決してあり得ない異常な出来事を、
あっと意表をつく発想で捉えSF独特の<奇妙な味>を伝える12編。

The Wall Around the World
壁の中
Theodore Rose Cogswell
シオドア・R・コグスウェル
南山宏 訳
Storm
暴風雨警報
Donald A. Wollheim
ドナルド・A・ウォルハイム
宇野輝雄 訳
Devolution
反対進化
Edmond Hamilton
エドモンド・ハミルトン
小尾美佐 訳
Dead City
死都
Murray Leinster
マレイ・レンスター
中上守 訳
That Hat Trick
手品
Fredric Brown
フレデリック・ブラウン
福島正実 訳
This is Earth
ここは地球だ
Wilson Tucker
ウイルスン・タッカー
福島正実 訳
The Midnight Sun
真夜中の太陽
Rod Serling
ロッド・サーリング
福島正実 訳
The Curious Child
奇妙な子供
Richard Matheson
リチャード・マシスン
石田善彦 訳
Doomsday Defered
くりのべられた審判
William Fitzgerald Jenkins
ウイル・F・ジェンキンズ
(Murray Leinster マレイ・レンスターの別名)
福島正実 訳
Hush !
静かに!
Zenna Henderson
ゼナ・ヘンダースン
久保田幸子 訳
And Not Quite Human
最後の地球人
Joe L. Hensley
ジョン・L・ヘンズレイ
滝沢比佐子 訳
Disaster
災厄
Lawrence Sears
ローレンス・シアーズ
福島正実 訳

2007/12/01 再読。
『壁の中』は、今読み直すと、まるでハリーポッターの原作のように思える。
『死都』は傑作。昔は何回も読んだ。
『真夜中の太陽』は、太陽に近づいていく話。
『反対進化』は、エドモンド・ハミルトンっぽい(あまり読んだことはないが)
キャプテンフューチャーよりも、むしろこういう小説を書く人なのではないか。

 

クレージー・ユーモア

(1976/06/15 第1刷)原題無し

現実の問題を未来に或いは宇宙空間に託し、
諷刺と諧謔で胸のすく爽快な笑いの発作を誘うユーモアSFのショート集。

もののかたち Ray Bradbur
レイ・ブラッドベリ
斎藤伯好 訳
ナンバー9 Cleve Cartmill
クリーブ・カートミル
宇野輝雄 訳
人類供応法 Damon Knight
デーモン・ナイト
矢野徹 訳
クレイジイ・プラセット Fredric Brown
フレデリック・ブラウン
三田村裕 訳
バスカヴィル家の宇宙犬 Poul William Anderson & Gordon R. Dickson
アンダースン&ディクスン
伊藤典夫 訳
時は金 Mack Reynolds
マック・レナルズ
浅倉久志 訳
旅する男 Henry Slesar
ヘンリー・スレッサー
福島正実 訳
怪獣の時代 Guy Endore
ガイ・エンドア
福島正実 訳
グレート・デーンになった男 Miriam allen deFord
ミリアム・アレン・ドフォード
福島正実 訳
四次元フープ John D. Macdonald
ジョン・D・マクドナルド
宇野輝雄 訳
不景気 Robert Sheckley
ロバート・シェクリー
常盤新平 訳
衝動 Eric Frank Russell
エリック・フランク・ラッセル
中上守 訳

2007/12/23 再読。
『クレージー・ユーモア』というタイトルとは裏腹に、 オーソドックスな作品、しかもそれぞれのジャンルを代表する傑作が多い。
『時は金』は時間物の傑作。ジュディス・メリル『SFベスト・オブ・ベスト』にも 収録されていたはず。『怪獣の時代』も終末物の傑作。 『旅する男』もテレポーテーション物の傑作。 『クレイジイ・プラセット』は『夜来る』の別バージョンのような感じ。 『バスカヴィル家の宇宙犬』はまさに傑作パロディ。 『衝動』は心を完璧に読むことのできる敵との戦いの話。 読んでいてどう解決がつくのか、本当に気が気でなくなる。

 

華麗なる幻想

(1977/02/15 第1刷)

人間の奔放な想像力がうみだした壮大で絢爛たる幻想の世界。
現代SFの隆盛をもたらしたSFクラシック9篇を収録。

The New Accelerator
新加速剤
H. G. Wells
H・G・ウェルズ
宇野利泰 訳
In the Year 2889(Au XXIXme siecle)
2889年
Jules Verne
ジュール・ヴェルヌ
村上啓夫 訳
The Tree of Life
生命の木
C. L. Moore
C・L・ムーア
深町真理子 訳
The Revolt of the Pedestrians
歩行者族の反乱
D. H. Keller
D・H・ケラー
矢野徹 訳
The Shadow and the Flash
影と閃光
Jack London
ジャック・ロンドン
南山宏 訳
The Los Amigos Fiasco
ロス・アミゴスの大失策
Conan Doyle
アーサー・コナン・ドイル
福島正実 訳
Fessenden's World
フェッセンデンの宇宙
Edmond Hamilton
エドモンド・ハミルトン
稲葉明雄 訳
R.U.R.(Rossum's Universal Robots)
RUR ロッサム万能ロボット会社
Karel Čapek
カレル・チャペック
深町真理子 訳
A Descent into the Maelstrom
メールシュトレームの大渦
Edgar Allan Poe
エドガー・A・ポー
福島正実 訳

2008/02/03 再読。
ジュール・ヴェルヌ『2889年』以外はよく覚えている。
『生命の木』は、この海外SF傑作選の中ではめずらしい、ファンタジー色の濃い作品で、
最初に読んだとき強い印象を受け、いつかじっくり再読したいと思っていた。
今回、25年ぶりぐらいの再読(その間一度も読んでいない)となるが、
それでもよく中味を覚えている。
今回の収録作品はどれもビジュアル的にすばらしく、映画で見たい気がする。
特に『メールシュトレーム』。

 

ファンタジーへの誘い

(1977/10/15 第1刷)

茫漠たる宇宙に於ける人間という小さな存在。
その大いなる孤独をSFならではの手法で描くファンタジー13篇。

Come Lady Death
死神よ来たれ
Peter S. Beagle
ピーター・S・ビーグル
伊藤典夫 訳
Intangibles, Inc.
不可視配給株式会社
Brian Aldiss
ブライアン・W・オールディス
深町真理子 訳
The Big Trek
大いなる旅
Fritz Leiber
フリッツ・ライバー
伊藤典夫 訳
Upon the Dull Earth
この卑しい地上に
Philip K. Dick
フィリップ・K・ディック
浅倉久志 訳
Far from Home
ふるさと遠く
Walter S. Tevis
ウォルター・S・テヴィス
伊藤典夫 訳
The Tenants
13階
William Tenn
ウィリアム・テン
福島正実 訳
The Dark Music
闇の旋律
Charles Beaumont
チャールズ・ボーモント
酒匂真理子 訳
Adapted
順応性
Carol Emshwiller
キャロル・エムシュウィラー
小尾美佐 訳
The Goddess on the Street Corner
街角の女神
Margaret St. Clair
マーガレット・セント・クレア
伊藤典夫 訳
The Ugly Sea
みにくい海
R. A. Lafferty
R・A・ラファティ
伊藤典夫 訳
The Rule of Names
名前の掟
Ursula K. Le Guin
アーシュラ・K・ル・グウィン
酒匂真理子 訳
It's a Good Life
きょうも上天気
Jerome Bixby
ジェローム・ビクスビィ
浅倉久志 訳
I Love Galesburg in the Spring Time
ゲイルズバーグの春を愛す
Jack Finney
ジャック・フィニィ
福島正実 訳

2008/04/29 再読。
相変わらず記憶に残っていない作品がいくつかあり、 フィリップ・K・ディック『この卑しい地上に』、 キャロル・エムシュウィラー『順応性』、 ウォルター・S・テヴィス『ふるさと遠く』 は、初めて読んだと思えるぐらい、完全に忘れていた。
あとは、どれもよく覚えている。


2007年5月から始めて約1年、全巻の再読が終わった。
当初の目的は、タイトルを見ても中味を思い出せない作品の再読と、 自分の好きな作品を再読して感動を新たにする、ということにあったが、 覚えていない作品は再読してもすぐ印象が薄れていき、また好きな作品はよく覚えているので、 結局どちらの目的も、あまり果たせなかった。

また全体を通して読むのは何年も先のことになると思われるので、
後々のために再読のためのガイドを残しておく。

読んでおくべき(知っておくべき)作品(SFの古典)

ロバート・A・ハインライン 『歪んだ家』
アーサー・C・クラーク 『太陽系最後の日』
A・E・ヴァン・ヴォクト 『黒い破壊者(宇宙船ビーグル号)』
レイ・ブラッドベリ 『長かりし年月(火星年代記)』
シオドア・R・コグスウェル 『壁の中』
マレイ・レンスター 『死都』
ガイ・エンドア 『怪獣の時代』
エドモンド・ハミルトン 『フェッセンデンの宇宙』
エドガー・A・ポー 『メールシュトレームの大渦』

好きな作品

ゼナ・ヘンダースン 『アララテの山(果しなき旅路)』
ウィリアム・H・シラス 『アトムの子ら』
カート・ボネガット・ジュニア 『バーンハウス効果』
ピーター・S・ビーグル 『死神よ来たれ』

つまり、自分が選者となるなら、このような作品集になる。


  『枕草子*砂の本』  

E-mail : kc2h-msm@asahi-net.or.jp
三島 久典