読書記録

1997(平成9)年1月〜6月



<凡例>
冊数タイトル
読了日著者
評価コメント

<ジャンル分け>
理工系 人文系 文学 社会・実用書 未分類

No. 31
1997/06/24
Briar Rose (原書)
Jane Yolen

『優しいル・グィン 』こと「現代のアンデルセン」ジェイン・ヨーレンが書いた、
もう一つの「シンドラーのリスト」。この話は fantasy なのか?

ラスト近く、

"I didn't expect it to be so ... so quiet ... so peaceful."
"A grave is always quiet. Always filled with peace."
が印象的。

fiction ではないが、ジェイン・ヨーレンは、やはり『Touch Magic』。
井辻朱美訳で、どこかから出してくれないか? 『夢の仕掛け 私のファンタジーめぐり』とも近いし。
ちょっと、こだわり過ぎか?
いずれ「My favorites」のコーナーも興さねば……。

 
No. 30
1997/06/18
十二神将変
恂{ 邦雄

  • 何時の時代、どのような社会背景、どのような階層の人を描いたのか?
  • なんという、様式美、構成美、人工の楽園、……
  • 喩えて云うなら、三島由紀夫の『金閣寺』、井辻朱美の『風街物語』、
    或いは、安東次男が『花づとめ』のやうな長編小説を書いたら、……

 
No. 29
1997/06/07
代数学のすすめ
大石 彰/td>

いろいろ具体例が多くてわかりやすい。入門者向け

 
No. 28
1997/05/31
冷たい密室と博士たち
森 博嗣

  • 確かこの作品が実質第1作のはず。5作の中で最も最初と最後の印象が変わる作品。
  • この作品についても読む順番は関係ない。とにかく『封印再度』だけは最後までとっておくように。
  • これで読み納め。また、1から読むか、『まどろみ消去』を待つか。

 
No. 27
1997/05/29
ニューウエイヴ・ミステリ読本
山口 雅也監修、千街 晶之、福井 健太編/td>

『新世代の本格ミステリ・ガイド』
まず、インタヴュアの質問がひじょうに的確で、読んでいて気持ちがいい。
『ブックレヴュー』も充実している。綾辻行人、島田荘司、竹本健治あたりは、やはり必読か?
琴線に触れそうなのは、加納朋子と倉知淳。
また、図書館通いを始めないと……。

 
No. 26
1997/05/23
インター・オタク・ネット
ぽにーてーる編

去年の9月、野口悠紀夫の『「超」整理日誌』が出た時、
折り込みの広告の10月の新刊に、この本のタイトルが出ていた。
それから毎日のように書店でチェックしたが、11月になっても出版されなかった。
タイトルからだいたい内容は想像がつくが、この手の本は、そう簡単には出せないはずなのだ。

まず主だったページは既に紹介済み。
新しいのを発掘するにも正に玉石混淆の状態だし、その中から特定の物を選ぶにも、
それなりの見識、及び、かなりの鑑識眼が必要となる。
さらに、次にアクセスした時はアドレスが変わっていたりする。
雑誌で紹介するならともかく、単行本では出した時点で既に古くなっている、という危険性が伴う。
時流に乗ろうとして失敗した安易な企画だと思っていた。

今回7ヶ月遅れにして、めでたく出版された。
内容的には、別の出版社から出た『お宝インターネット コミックサイト』と
だぶるところがあるが、ホームページの作者に直接インタビューしている等、
割ときちんととりあげている。
何よりも、あえて発行を遅らせて、質の向上につとめたところに好感が持てる。

いつか自分のページも、このような濃い本で紹介されてみたい。

 
No. 25
1997/05/18
ホーキングとペンローズが語る 時空の本質 ブラックホールから量子宇宙論へ
スティーヴン・ホーキング、ロジャー・ペンローズ

ホーキングとペンローズがそれぞれの立場から3回講義を行い、
最後にお互いが討論を行う、という形式になっている。
特に最後の討論の部分は『魔の山』のセテンブリーニと誰だか(思い出せない)
の論争を思わせる。

まず、冒頭で、一般相対性理論と量子論の知識を仮定している。
この『知識』というのが、いわゆる一般の啓蒙書レベルではなく、
○○テンソルとシュレジンガー方程式といろいろな図式、という、
ひたすら式を書きまくる修行によって得た知識を仮定している。
私のこの分野についての知識は前者のレベルなので、いろいろ理解できない部分が多かった。

このロジャー・ペンローズとフリーマン・ダイソンは、
この分野におけるカルト的な学者であり、その業績はまちがいなく後世からも評価されると思う。
こういう人たちと同時代に生きていられるというのは、ひじょうにラッキーなことだと思う。

 
No. 24
1997/05/07
銀河英雄伝説[4]策謀篇
田中 芳樹

皇帝誘拐の陰謀に始まり、ユリアンはフェザーンへ、「神々の黄昏」、
シェーンコップ vs ロイエンタールの肉弾戦、フェザーン占領まで。

また、おとなしく1ヶ月後を待つ。

 
No. 23
1997/04/30
量子コンピュータ入門
西野 哲朗

「量子」コンピュータというと、

  • コンピュータの素子として量子レベルで設計された素子を使う。
  • (GaAsとかジョセフソン素子とか分子コンピュータとか)
  • ロジックの基本原理として量子論理を使う(ブール代数の代わりに)。
という2通りが考えられるが、この本は後者の方を扱っている。
もう少し詳しく云うと、チューリングマシンに対する量子チューリングマシンについて書かれている。

これを読んで『バベルの図書館』の実現手段を思いついた。
あり得る文字の組み合わせを全て本として印刷するのではなく、量子チューリングマシンの記憶素子の中で、重ね合わせの状態で保存していく。そして、その中から、任意の求める結果を観測によって取り出すのである。こうすれば、少なくとも空間(場所)の問題は解決する。

しかし、ここで新たな問題が発生する。量子の状態関数の重ね合わせの状態から観測により求めたい結果を得るという過程において、状態が可算個なら問題ないが、非可算無限なら選択公理が絡んでくる。
数学ならここで「選択公理を使わない観測」という方向に話が進むが、そんなことは実際に可能なのか?

というように、いろいろ思考を刺激してくれる。

 
No. 22
1997/04/07
封印再度
森 博嗣

4/5 に発売になった、犀川創平・西之園萌絵シリーズの第5作目。 たった2日で読み終えてしまったのは、もったいなかったか?

できれば、他の作品を読んだ後でこれを読んだ方がいいだろう。
というよりも、絶対、これを最後に読むべきである。
そうでないと、話の途中に待っている『事件』のインパクトが体感できない。

ぜひともドラマ化して欲しい。セットを組むのは大変かも知れないが。
「土曜ワイド劇場」あたりで軽めに。
配役は『Black Out』の椎名桔平・山本未来のコンビで。

 
No. 21
1997/04/02
「銀河英雄伝説」読本
らいとすたっふ編

OVA第4期ダイジェスト、単行本未収録の4作(ダゴン星域戦記+ラインハルト・キルヒアイスの初期のエピソード3話)、その他インタビュー等。
あえて、文庫版第10巻が出るまで、ビデオを見ない、という手もある。

 
No. 20
1997/03/28
考えることの科学
市川 伸一

中公新書の認知心理学・論理学系の本としては、野崎昭弘の 『詭弁論理学』 『逆説論理学』 がある。

これらに共通するおもしろさは
「自分が、ふだん無意識のうちに陥っているところの、思考の陥穽に気付かせてくれる」
という点にあるのだと思う。

 
No. 19
1997/03/26
すべてがFになる
森 博嗣

これは、とにかく一度読む価値がある
タイトルからトリックのメインはだいたい検討はついたが、
犯行の動機とか、犯人と被害者の、……
ああ、何をかいてもネタばれになってしまう。

第1作目だが、必ずしも最初に読む必要はない。
しかし、最初にこの作品の洗礼を受けたら、もう全巻読破まで一直線であろう。

 
No. 18
1997/03/20
UKプログレッシヴ・ロックの70年代 Volume 2
 

第2弾。
まさか、アニーハスラムとの対談が読める時代が来るとは思わなかった。
いい時代になったものである。

 
No. 17
1997/03/13
術語集
中村 雄二郎

いろいろな用語に対するこだわり。
こういうのを「哲学する」と呼ぶのだろう。
この表現は使い古されている印象が強いが、これまで余計なことに使いすぎたのだ。

 
No. 16
1997/03/08
銀河英雄伝説[3]雌伏篇
田中 芳樹

ユリアンの初陣に始まり、査問会、要塞対要塞。
英雄達の胸中に去来する空虚感と、新たな陰謀の始まり。
また、おとなしく1ヶ月後を待つ。

 
No. 15
1997/03/05
クリス・クロス
高畑 京一郎

こういう感じの小説を書こうと思った人は多いと思うが、
このように成功する例は少ないであろう。適度なヒロイズム。

 
No. 14
1997/03/04
アポロンの島
小川 国夫

久しぶりに読みたくなった。今、新潮文庫からは出ていないようである

 
No. 13
1997/02/27
さよりなパラレル外伝 マヤヤイリリぱにっく[下]
工藤 治
 
 
No. 12
1997/02/25
さよりなパラレル外伝 マヤヤイリリぱにっく[上]
工藤 治

とりあえず、竹本泉がらみということで。
スレイヤーズの1エピソードのような感じ。

 
No. 11
1997/02/20
宗教入門
中沢 新一

昔TVでやっていた。特に私にとって新しい情報は無し

 
No. 10
1997/02/17
インターネットはからっぽの洞窟
クリフォード・ストール

主張にいろいろ自己矛盾がある。
それをjokeと呼ぶのなら、それはつまらないjokeである。

 
No. 9
1997/02/11
知・記号・コンピューター
仲本 秀四郎

あらためて読む程のことはなかった

 
No. 8
1997/02/09
一度は使ってみたい季節の言葉
長谷川 櫂

そもそも私は俳句に対してひじょうに興味がある。
および、言葉に対するこだわりもある。

 
No. 7
1997/02/04
知の旅への誘い
中村 雄二郎、山口 昌男

『術語集』が気になって、先にこちらの方を読んだ。
適度に頭が刺激されて心地よい。

 
No. 6
1997/01/29
詩的私的ジャック
森 博嗣

メインのトリックとは関係ないが、 煙草の吸い殻に細工をして云々のくだりは、まさに理系ミステリの 面目躍如といったところか。

ちなみに私個人の印象としては『理系』というより『工学系』という方が あたっていると思う(この違いについては、いずれ詳しく)。

 
No. 5
1997/01/25
ぼくのミステリな日常
若竹 七海

会社の広報誌をかたどった体裁、特に各月ごとの表紙と目次というのは、 いろいろ文を書きたいと思っている者に対して、たいへんな誘惑である。

そして、あとがき……。

 
No. 4
1997/01/21
銀河英雄伝説[2]野望篇
田中 芳樹

2つの内乱(帝国内乱、同盟内クーデター)。そして「わが友」は旅立つ。
また、おとなしく1ヶ月後を待つ。

 
No. 3
1997/01/17
哲学者の密室(下)
笠井 潔
 
 
No. 2
1997/01/13
哲学者の密室(上)
笠井 潔

私が最近ミステリを読むようになったきっかけの本。
ホームページのタイトルのもう一つの元ネタでもある。

この本は最初に読んではいけない。

  1. 『バイバイ、エンジェル』
  2. 『サマー・アポカリプス』
  3. 『薔薇の女』
という順に読まないと、ネタばれがある。
「いや、この作者の本は哲学書であり、 ネタばれがどうとか、そういうレベルのものではないのだ」 というのなら話は別だが。

 
No. 1
1997/01/06
The Island of the Day Before (原書)
Umberto Eco

「原書」は「L'isola del giorno prima」だから、この本は翻訳(英訳)である。
とりあえず、日本語版が出る前に読み終わってよかった。



読書記録 1996
(平成8年)
『枕草子*砂の本』 読書記録 1997
(平成9年)7月〜12月

E-mail : kc2h-msm@asahi-net.or.jp
三島 久典