ここから先、
という手は考えられるが、このような小手先のやり方で、n=564 に対する解、
x = 122 44200 50100 02877 81163 51171 17995 21361 35134 91867 (48桁)
y = -3460 69586 84255 04865 64589 22621 88752 08971 30654 24460 (49桁)
z = 74807 19101 53025 27837 94583 60171 46464 94820 59055 28060 (50桁)
は求められない。
よって、冒頭に示した Bremner の論文を調べてみる。
Bremner の手法は以下のとおり。
与えられた不定方程式 n=(x+y+z)(1/x+1/y+1/z) は、双有理写像、
X = -4(yz+zx+xy)/z2
Y = 2(X-4n)y/z-(n-1)X
により、楕円曲線 E、
E : Y2 = X(X2+(n2-6n-3)X+16n)
に双有理同値となる。楕円曲線から元の不定方程式への写像は、
x,y/z = {±Y-(n-1)X}/2(4n-X)
で与えられる。よって、楕円曲線 E の有理点を求め、双有理写像で変換して、
n=(x+y+z)(1/x+1/y+1/z) の解とすればよい。
論文には、この有理点を求める方法が細かく書かれているが、
Cremona の mwrank を使うと、手っ取り早く求めることができる。
計算結果は下記のとおり。
-500 ≤ n ≤ -1 に対する解
1 ≤ n ≤ 500 に対する解
n = -100 : (x,y,z) = (4450012553, 219887106322, -663397965750)
n = 94 : (x,y,z) = (571064, -1799160, 79045681)
等を求めることができた。 これらは、最初のプログラムでは、まず発見することができない。
以下のような恒等式が知られている。
n | x | y | z |
---|---|---|---|
-(k2-5) (k≥3) | k+1 | k-1 | -k(k2-1)/2 |
-(k2+3) (k≥3) | (k3+3k2+4k+4)/2 | (k3-3k2+4k-4)/2 | -k(k4+3k2+4)/4 |
-(k-1)(k+2) (k≥3) | 1 | k | -k(k+1) |
v4k+8 | u2k-1 | u2k+1 | u2k-1v2ku2k+1 |
u2k2 | -u2k-1 | u2k+1 | u2k-1u2ku2k+1 |
ここで、uk、vkはそれぞれ Fibonacci数、Lucas数 で、定義は以下のとおり。
Fibonacci数 uk :
u1=1, u2=1, uk+1=uk+uk-1
Lucas数 vk :
v1=1, v2=3, vk+1=vk+vk-1
2変数の場合、n=(x+y)(1/x+1/y) の n の値は、
n=0, 4
に限る。これは初等的に示すことができる。
また、4変数の場合、n=(x+y+z+w)(1/x+1/y+1/z+1/w) の場合は、以下のような一般解が存在する。
x = m2+m+1
y = m(m+1)(n-1)
z = (m+1)(n-1)
w = -m(n-1)
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