12.まとめ


前の表で1点だけ補足しておく。
「1の分割」「2の分割」とは、

1/1=1/2+1/3+1/6
1/1=1/2+1/4+1/4
1/1=1/3+1/3+1/3

2/1=1/1+1/2+1/2

のことである。4/2, 5/5, 6/3, 7/7 はこれらの系列に属する。


さて、以上から、

ということがわかった。
後者については証明を与えていないが、それほどむずかしくはないように見える。
これらをまとめると、

任意の個別解より、その解を含む恒等式を必ず構成することができる。
すなわち、任意の個別解は孤立解ではなく、必ずある恒等式が存在して、
その恒等式が生成する解の1つになる。

となる。これは、

不定方程式 m/p=1/a+1/b+1/c (m=4,5,6,7 : p=素数)
は必ず自然数解を持つ。

ということを意味しているのではないか?
つまり、問題の証明になっているのではないか?


結論を云うと違う
どこが違うかと云うと、上の議論では、m/p=1/a+1/b+1/c の個別解を利用して恒等式を導いている。
しかし、そもそもの問題は、

その個別解が存在するかどうか

なのである。つまり、当初の問いに対しては、何も答えていない


これまでの議論で求めた恒等式を利用すると、
解が存在するか否かを検証するための範囲をしぼりこんでいくことができる。 例えば、4/pの場合、p=3n-1, 4n-1 の場合は恒等式があるので、3で割って2余る、 あるいは4で割って3余る素数については解の存在が保証されるため、最初から調べる必要がない。

ではこれを利用して、例えば任意のpに対しa、bが存在し、恒等式が構成できる、
ということを示すことができないか。
もちろんそれができれば完全解決となる。
しかし、すこしやってみればわかるが、難しそうである。


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三島 久典