まず日本では、サラブレッドには鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛・栗毛・栃栗毛・芦毛、そして白毛の合計8種類の毛色(モウショク)が認められています。

白毛とは、全身を白い毛に覆われた毛色のことで、サラブレッドでは非常にめずらしい毛色です。それだったら、芦毛も白い毛に覆われていますよね。でも同じ芦毛でも、黒っぽいものとかちょっとくすんだ灰色のものとかいますよね。ここでは芦毛と白毛の違いを比較することで、白毛というものを理解していきましょう。

1. 芦毛の特徴

(1) 生まれた時は白くない

芦毛の馬は生まれたときは白くなく、鹿毛や栗毛と見分けがつかない毛色をしています。しかし歳を取るにしたがって徐々に白い毛が増えていって、いずれ全身真っ白になってしまうのです。普段私たちが競馬場で見ることのできる3歳から8歳くらいまでの間というのが、個体差はありますが、ちょうど白い毛が増えていく途中の過程なので、前述のように同じ芦毛でも黒っぽいものから真っ白なものまで見られるわけです。

(2) 芦毛の親は芦毛

芦毛の名馬の1頭、メジロマックイーンの父は芦毛のメジロテイターン。そしてその父は芦毛のメジロアサマ。といったように、芦毛という毛色は親から遺伝するもので、芦毛の馬の両親のどちらか一方、もしくは両親ともが必ず芦毛なのです。逆にいうと、両親とも芦毛ではない馬は、絶対に芦毛にはなりません。この毛色の遺伝については別の機会に説明します。

(3) 皮膚の色が黒い

通常のサラブレッドにみられる鹿毛、栗毛、芦毛などの毛色の馬の皮膚は、黒い色をしています。これは顔に白斑のない馬の口元を見ると、毛色にかかわらず黒いことがわかります。全身が真っ白の芦毛の馬でも、口元だけは黒っぽいでしょう。

2. 白毛の特徴

(1) 生まれた時から白い

白毛の馬は芦毛の馬と異なり、生まれたときから全身が白い毛に覆われています。部分的に鹿毛のような有毛色が残っている場合もあり、その有毛色が芦毛と同じように歳とともに白くなっていったり、そのまま残ってしまう場合もあります。

(2) 白毛の親は白毛?

白毛のハクホウクンの父は白毛のハクタイユー。ここまでは芦毛と同じように、白毛も親から遺伝しますが、ハクタイユーの父ロングエースは黒鹿毛、母ホマレブルは栗毛なのです。それではハクタイユーはどうして白毛になったのでしょう。白毛が生まれるには、

の2つのパターンがあり、両親のいずれも白毛ではないハクタイユーは前者の突然変異、そのハクタイユーから白毛を受け継いだハクホウクンは、後者の遺伝によって生まれたと考えられます。

それならば両親が白毛だと、白毛が生まれやすくなると考えがちですが、その場合致死遺伝子が発現する場合があり、生存できないといわれています。そのため両親が白毛のミサワボタンの誕生は、世界的にも貴重な例だと思われます。

(3) 皮膚の色が肌色(ピンク)

白毛の馬は白さが際立って見えますが、その理由は皮膚の色が肌色(ピンク色)だからなのです。口元を見れば、皮膚が黒くなく肌色をしていることがよくわかります。白毛という毛色は、突然変異で白い毛が生えた馬というより、突然変異で白斑が全身に広がってしまった馬と考えたほうがいいのかもしれません。なぜなら白斑って生まれたときから白いですよね。

3. まとめ

以上をまとめると、白毛とは、「誕生時からほぼ全身に白い毛が生えている」ことが特徴である毛色のことで、

の2通りによって生まれます。