Nov.1996 / VOL.1







ども。藤居といいます。


このコーナー、 コマンド・アイ っつーんだけど、ヒョンなことから始まることになりましたんでよろしく。


はじまり。はじまり。パチパチパチ。





あなたがリベラル中流派のMACユーザーなら、一度や二度くらいは、


「世の中にこんな べんりな ものがあってもいいのか、バカヤロウ」


と思わずだれかを殴ってしまいたくなる経験があるんじゃないだろうか。(ないか)た またま押したキーで何かが起こり、「ん!?」「なんだこれは!」 もう一回やってみる。「なんだそうだったのか!」 「ナルホド。こいつはべんりだ」「ちくしょう泣けるぜ」「MACってば 最高じゃん


そういうのがあるでしょう。 このコーナーの主旨は、そんなお手軽ヒントををちょいちょい発表してみんなで 幸せになろう という点にある。知らなくてもとどこおりなく人生を送れるけれど、 知ってると少しだけトクしたきぶんになれる。 「メモリを128M増設する=都内に一戸建てを新築する」とすれば、 ぼくが紹介するTipsは留守電つきFAXを買ってくるようなもんだ。 すげえ。 それじゃまるで、おれってば、エバンジェリストじゃん。ヤルなあ。出世したもんだ、まったく・・・・・



んじゃイッパツ目はこれだ。


KeyQuencer 1.2.2(key-quencer-122.hqx)

こいつは マクロ を組めるシェアウエアだ。 断っておくが、このコーナーはMacintoshとハンバーガーのちがいはわかるが、マクロとマイクロコムのちがいはよくわからないといった 熟練度の人たちを対象にしている。 ぼくがつい最近までそうだったからね。だから、イーサネットの物理アドレスを手軽に知る方法だとか、 CGIの書き方だとか(なにそれ)、そんなテーマは 永遠 に出てこない。 物足りないと思うパワーユーザーにはこっちの方がおすすめだよ。バイバイ。


うひひ。うるさい連中は行っちゃったみたいだから、さあ、みんなで遊ぼう。


KeyQuencer 1.2.2(key-quencer-122.hqx) はマクロを組めるシェアウエアなんだ。 マクロっていうのはなにかをまず説明しよう。もしあなたがクラリスワークス2.0を持っているなら説明しやすい。 4.0はまだ出たばかりだけど、2.0はPerformaにもバンドルされてるから、持ってる人多いでしょう。 クラリスを起動してワープロでもドローでもなんでもいいから新規書類を開いてみよう。 おっと、メモリの残量にはいつも気を配らなくちゃね。もしあなたがメモリプアだとして、 買ったばかりの16MでなんとかNetscapeを乗りこなしてるってかんじなら、きっとクラリスを開く余裕はないかも。 あとでゆっくりやってごらん。 このページは逃げない。



さて、クラリスを開くとメニューのファイル/ショートカットのサブメニューに マクロ記録ってのがある。これの機能を知ってる人は読み飛ばしてください。知らない人はさっそくこれで遊んでみよう。 おもしろいよ。 マクロ記録を開くとこんなのが出てくる。



そしたら、名前に「テスト」とか入力して、タブキーをポン。 すると次の四角い入力欄に移るからテンキーの「0」を入力。 「記録」 をクリックするかリターンキー。


どうなったかな? ダイアログボックスは閉じ、 メニューバー左上のリンゴマークが、マイクのアイコンと交互に点滅しだしたでしょう。 ぼくはいまクラリスでこれを書いてるから、じっさいに見てます。さあ、 ボヤー としてないで、動いてごらん。ペイント環境でラクガキでもなんでもどうぞ。 できたかな。そしたら、次に、メニューからファイル/ショートカット/マクロ停止を選ぶ。


ん!? マイクの点滅がなくなった。 でも・・・なんにも起こらない。そんなことはない。起こっているんだ。 いま、あなたのMACは確実にさっきとは ちがう MACになっているんだよ。 あなたはそれに気づいてないだけなんだ。確かめる方法はじつにかんたん。 option、command、テンキーの0、この3つのキーを同時に押してみよう。 さっきそういう風に設定したでしょ。

押してみて。 よし、ぼくも押してみよう。

どうなったかな? ダイアログボックスは閉じ、 メニューバー左上のリンゴマークが、マイクのアイコンと交互に点滅しだしたでしょう。 ぼくはいまクラリスでこれを書いてるから、じっさいに見てます。さあ、 ボヤー としてないで、動いてごらん。ペイント環境でラクガキでもなんでもどうぞ。 できたかな。そしたら、次に、メニューからファイル/ショートカット/マクロ停止を選ぶ。


はは。さっき書いたやつがそのまんま出てきた。 ユーレイがいるみたいだ。もう一回押しちゃえ。


どうなったかな? ダイアログボックスは閉じ、 メニューバー左上のリンゴマークが、マイクのアイコンと交互に点滅しだしたでしょう。 ぼくはいまクラリスでこれを書いてるから、じっさいに見てます。さあ、 ボヤー としてないで、動いてごらん。ペイント環境でラクガキでもなんでもどうぞ。 できたかな。そしたら、次に、メニューからファイル/ショートカット/マクロ停止を選ぶ。



はは。もう分ったと思うけど、 クラリスワークスのマクロ機能を使うと、 定型的な一連の作業をひとつのキーパターンにまとめてしまえるわけだ。 すげえじゃん。試しに、ファイルからショートカット/マクロ編集... を選ぶといま登録したばかりのマクロがキチンと登録されてるはずだ。


もしあなたが初心者で、 クラリスのこの機能を初めて知ったのだとしたら、これで一晩は遊べるだろう。 Enjoy it !!! たとえば、あなたは、クラリスのペイント環境で念入りにモノトーンのロゴをつくってみたとする。 これを別の色に塗りかえるとしよう。カラーパレットから塗りたい色を選び、ツールボックスからペンキ缶を選び、 塗りやすいように少し拡大表示。んでから、 塗りたい場所にペンキ缶を持っていてクリックすれば、 ジャー と色が変わるよね。


だけどあなたのつくったロゴがすごい力作で、 細いラインがいくつも交錯する複雑なデザインだったとすると、 少しめんどうくさい。ペンキ缶の先っちょが少しでもズレると 背景にペンキが流れていっちゃう。 cmd-z でやり直しながら、ちょこまかと色を重ねていかなくちゃいけない。 あなたは自分のロゴにどんな色がふさわしいかをいろいろテストしてみたい。でも、 めんどくさい。これじゃまるで 傘ハリ浪人 ではないか! あなたはそれでもコンピュータを使ってるといえるのか。



ここでさっきのマクロ機能を使える。 ヘアラインをペンキ缶でなぞっていく作業をMACに覚えさせよう。
次からは、色を選んで、 ポン!  まるでピアノが自動演奏されるみたいにあなたの目の前で、あなたがやった通りに、 でもずっと素早く、正確に、MACが色を塗っていってくれる。 エレガント! あなただけのショートカットが誕生だ。 たちまち色違いのロゴが幾通りもつくれちゃう。



やっぱパソコンだもんなあ。 ワープロたあ、ちがうわけよ。あなたは大いばりで、ともだちに電話をする。 こういうときに、「うんうん、エライ」とホメてくれるともだちがいるあなたは 健康 だ。電話どころか、ひたすら部屋にこもって徹夜してしまうあなたも 健康 だ。人間には 自由 というものがある。


クラリスのマクロ機能を使う上での 注意点。これはクラリス上でしか使えない。だからいったんFinderにいってゴミ箱を空にしてまた戻って、 なんていう作業を覚えさせることはできない。 注意点その2。カーソルの動きを覚えさせるとき、クラリスはディスプレイ上の位置で記憶する。 だから、さっき例にあげたようなロゴをペイントするケースでは、常に同じ大きさと位置で始めなければならない。 このルールを守らないとあなたのMACが Power Mac 9500/200 だとしても相当なマヌケになる。



めんどうな一連の定型作業を、 まとめてポン! これがマクロの意味です。とてもべんりなオモチャであり、 いかにもパソコンぽくて、使い込むほどにディープな世界が拡がっていく。 マクロってのがなんなのかを説明するためにクラリスを例に出したけれど、 これはまだまだスタートラインだ。 最初に名前だけ紹介した KeyQuencer 1.2.2 を使えば、このマクロ機能をあらゆるアプリケーション上で実現させ、すきなショートカットを設定できるようになる。


拡張キーボードがあれば、 ファンクションキー(F1とかF2とかずらーと並んでるやつね)に特定のアプリの起動を割り当てるってのが、 一般的な使い道だと思うけどこれだけじゃつまらない。メニューから印刷を選んでOKをクリックする。 ウインドウの位置を動かす。ウインドウを切り替える。 アプリケーションを切り替える。ファックス送信のステイショナリを呼びだす。 メニューから用紙設定を選んでタテに変え、OKをクリックする。選択したファイル/フォルダをゴミ箱に直行+空にする。 モニタのデプスを変える。サウンドを切る。 こんな作業がぜんぶ キーイッパツ でできちゃうんだよ。



これらはみんな マウスでやれることばかりだし、マウスというのはとても使いやすいインターフェイスだということは、 ぼくも知っている。だけど、マウスでやれると同時に、キーボードでもできたら べんり だと思わない? ワープロで文章を書くのに熱中してるとき、あなたはノートパッドに大事なメモがあったことを思いだす。 アップルメニューから選ぶよね。ぼくはちがう。 ctl + ‾ を押すとノートパッドが出てくる。 ページをぱらぱらめくって目的の文字列を探しだし、コピーして、ワープロに戻り、 ペーストする。この間、マウスには一度も触れない。ぼくは左利きなので、 左の方に良く使うショートカットを割り当ててあるんだ


あのね、 いちおういっとくけど、


ぼくだって、マウスくらい持ってるんだぜ。

グラフィックのソフトで遊ぶときにはマウスは大活躍する。 MACの得意な GUI ばりばりの利便性にドップリ浸っていればいいと思う。 だけど、テキスト中心の作業をするときにはコレがめんどうになる。ぼくは思いだす。MACを買う前のワープロ専用機で文を書いてた頃の話。 あのときは単語登録だって、禁則処理だって、 メニューを選ぶんだって、ぜんぶ キーボード でできたじゃないか。そう考えると少しなつかしくなって、気まぐれに、 時代遅れのキャノワードの電源を入れてみた。


Welcome to ........ といってくれない。

当たり前だ。ワープロなんだから。すべてに渡って 地味 である。こんなの使ってたら、重苦しくて 自殺 しそうだ。楽しくない。ぼくも、あなたも、 ワープロ専用機にはもう戻れない。



MACのキーボードを あなた好みにカスタマイズしてみよう。デスクトップパターンを変えるのに飽きたら ときどきこのコーナーを覗いてみてごらん。気に入ったら Just try !!! ここで出てくる話はすべて本物で、なおかつ、リスクがかなり低い。 ロジックボードがイカれて、クイックガレージに直行なんてことはまず起こらないことを保証しよう。 それはまちがいなしだけれど、ひとつだけ心配がある。ネットサーフィンしすぎて つい寝不足になりがちなあなたの毎日に新たなテーマがたちはだかり、 自分のマシンをべんりにしたいあまりに徹夜が続いてしまうことだ。 これはマジに ヤバイ。ぼくは世間の人をそんなふうにしたくてこのコーナーを書いてるんじゃない。 (オタクはメールを送ってくるんじゃねえぞ。KeyQuncer1.2.2を使って、UNIXシェルがなんたら、 とかいわれても知らんからな)あなたのMACが少しだけべんりになり、外で遊ぶ 時間が増えてくれることを祈るばかりだ。


でも、不安だ。:-))))


では、第一回はそろそろおしまい。

次回は KeyQuencer 1.2.2(key-quencer-122.hqx) のインストール法と 基本的な使い方について紹介したいと思います。尚、MACでマクロ機能を実現できるユーティリティとしては、 CE Quickeys 3.0J というベストセラーがありますが、 これは高い。使用者の好みと目的によるので断言はできませんが、 いつもサイフと相談しなくちゃいけないホビーユーザーとしては、 ひとまずこちらをお試しあれ。


とはいえ KeyQuencer 1.2.2(key-quencer-122.hqx) はビギナー向けというわけではない。 高度な スクリプト機能を備えており、 AppleEventに対応するなど上級者にもファンは多いらしい。じつをいうとぼくはそこまで使いこなせてない。 はは。ただインターフェースがあまりに 地味 であるためか、雑誌のCDromなどに収録されることも珍しいくらいだ。 このユーティリティの特筆すべき利点としては、


  1. システムソフトウエアのメモリをほとんど増やさない。
  2. コンフリクトしない。(あくまでうちのマシンの場合ですが)
  3. スクリプトを書いてみるといかにもパソコン使ってるうってかんじがする

という点が挙げられます。

んじゃまた来週。(か再来週)

ぼくにメールをくれるって人は こちら までお願いします。

バーイ。

Thanks Mr.Koba!


文=藤居ヒロヤ


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