Q4.業務改善提案の質を高めるためにはどうしたらよいですか
当社の業務改善提案活動では、平均月1人2件の業務改善提案が出されていいる
のですが、内容的には小さな改善がほとんどを占めています。
何とかもっと大きな改善に取り組ませたいと思いますが、どうしたらよいでしょうか?
A4.質を定義し、質を高めるための誘導策を講じ、質を高める方法を指導
して下さい
(1) 質の定義
まず質の高い改善・提案を求めるためには、「質の高い改善・提案」とは、どのような
ものを指すのか、自社としての定義を明確にし、皆さんに伝えなければなりません。
一般的には、次のような改善を「質の高い改善・提案」といいます。
@ 効果金額が大きい改善
A 利用度の大きな改善
B 独創性(アイデア)のある改善
C 実施努力の大きな改善
@Aは、「会社に利益をもたらすもの」です。
BCは、「提案者の教育効果をねらったもの」です。
改善・提案活動の主な目的は、3つあります。
@ 改善・提案活動を通して「考える力」と「実行する力」を養う。
A 改善・提案活動を通して「若さと活力のある職場」をつくる。
B 改善・提案活動を通して「会社の利益」を生み出す。
従って、質の定義にもこうした改善・提案の目的を満たすものが要求されると思います。
(2) 質を高めるための誘導策
@件数競争から等級点競争に変更する
改善・提案活動を活性化する手段として、件数競争は非常に有効な手段ですが、一般
に件数競争の場合下位等級の改善も1件なら上位等級の改善も1件ということになりま
すので、件数競争をした場合楽に件数を稼げる下位等級の改善が増えます。
従って、それを防ぐためには賞金体系に合わせ、等級別にウエイト付けをした等級点を
設定します。 そして等級点競争をします。
この等級点競争ですと下位等級の改善1件と上位等級の改善1件では、上位等級が
有利だということになりますので、上位等級の改善が増えます。
A小集団(QCサークル)活動での改善を奨励する
上位等級の改善は、1人で行うには限度があります。諺にも「三人寄れば文殊の知
恵」とありますが、大きな改善や皆が関係する問題点の改善は、関係者が集まって協
議をし改善に取り組む方が円滑にことが運びます。
B上位等級の改善・提案事例集を発行する
上位等級の改善といっても、どんなものが上位等級の改善なのか分からない人もい
ますし、改善事例をヒントに自分の業務や職場をチェックし改善に取り組みたいという人
もいるでしょう。
そうした人達のために過去の上位等級の改善をもとに「改善・提案事例集」を作成し
配布します。
C上位等級の賞金を高くする
従来の賞金体系を変更し、下位等級の賞金を下げて、上位等級の賞金を上げます。
このようにして、賞金面から上位等級の改善に取り組むと有利だという気にさせます。
(3) 質を高める方法の指導
改善をしようと思えば、まず問題点を見つけなければなりません。しかも質の高い改
善をということになれば、質の定義にそったものということになります。
従って、まず「効果金額が大きい改善」ということになります。具体的には、
@ 材料費が多く投入されているものについて、何%削減を考える。
A 作業時間が多く掛かっているものについて、何%削減を考える。
B クレーム金額の大きいものについて、削減を考える。
C 不良金額が大きいものについて、削減を考える。
などです。
次が「利用度の大きな改善」ということになります。
@ 旅費交通費届出用紙など全社にまたがるものの改善
A 社用車運行管理方法の改善
B リサイクル品の分別管理方法の改善
などです。
なお、独創性(アイデア)のある改善や実施努力の大きな改善は、数多くの改善を
実施する過程で自然と身についてきます。