5.業務改善成功の秘訣は自助努力
かって、ダイハツ工業鰍ナ提案事務局を拝命していたとき、各職場の方々に
業務改善を実施するようにお願いすると
「他の人は、改善するところがあるかもしれないが、自分の業務についていえば、
改善するところなんてないよ」とか
「先輩達が長年かけて築き上げた方法を否定し、新しい方法をとるなんてことはできないよ」とか
「改善を考えるのは、スタッフの仕事ではないか、何で俺達がやらなければならないのか」とか
いわれました。
なかには「自分が苦心して考えたのが今の方法だから、これ以上の方法があるか!横からごちゃごちゃゆうな」と叱られたこともありました。
あるいは「現状の問題点は分かっていながら、改善なんて面倒臭いことができるか」と知らん振りをする人や「ひまになったら改善するから」と先延ばしをする人もいました。
多かれ少なかれ、各社の提案事務局の方々も似たような経験を、なさっておられること思います。
考えてみれば、先輩から教えられた通りの方法を金科玉条のごとく守る。上司からいわれるまで何もしない。問題にぶつかったときは、前例を踏襲し、前例にないことはしない。
いわゆる何事も自らの考えで行動しない。こうした生き方の方が、失敗の危険性も、他人との摩擦も少なく、身の安全性が確保でき、しかも失敗は他人のせいにできるので、これほど楽な生き方はないと思います。
何もしない方が安全で楽なのです。そのため一般に、わが身可愛さから保守的になりがちです。しかし、これでは進歩がありません。
そもそも改善とは、現状を否定し「自分が変えよう」と決意するところから始まります。
他人がとやかくいって、やっと改善に取り組んだものは、あまり成功しません。
改善をするためには、現状の問題点を自ら認識しなければなりません。その上で自ら改善案を考えなければなりません。
しかも、現状に関わっている人が多ければ多いほど、それぞれの人の思惑や利害関係やねたみが絡み合いますから、一筋縄では行きません。
将来を考えたら今やらなきゃいけないのに・・・どうして協力してくれないのだろうと頭を抱えこむことも度々あると思います。
こうした困難に直面したとき、他人から言われて取り組んだものは、できない理由や責任を他人のせいにしてしまい、自ら努力をしようとせず投げ出してしまいがちです。
しかし、自ら問題点を感じ、改善を自らやろうと決心したものは、困難に直面したとき自ら打開策を考え、自ら行動し、成功するように努力をします。だから成功するのだと思います。
業務改善で一番大事なのは、この「自助努力」ではないかと思います。
(2002.1.25)