2.改善・提案活動のメリットとデメリット
1.改善・提案活動のメリットとデメリットを考える
職場に対する提案事務局の悩みは、改善・提案が出ない職場があることです。
私達は、一般に物事を判断する場合、自分を中心に考えがちです。
そして、メリットとデメリットを天秤に掛けて、自分にとってメリットがあると感じれば積
極的になるし、デメリットが多いと思うと消極的になります。
そこで、改善・提案活動のメリットとデメリットをそれぞれの立場で考えてみたいと思
います。
2.会社にとっての改善・提案活動
(1)メリット
会社は、改善・提案活動を実施することによって、色々なムダが省けます。原価が
下がります。売上が向上します。職場が活性化します。全員参画の企業体質に強化
できます。
(2)デメリット
ー方、デメリットとしては、提案者に支払う賞金が件数の伸びとともに増えます。
また、改善・提案競争に賞金をっけたり、優秀者に記念品を出したり、改善・提案活動
を活性化するために推進費用が発生します。
さらに、改善・提案を審査するために会議を開いたり、内容を検討したりする審査工
数が発生しますし、それ以外に提案事務局を置いたり、改善・提案活動にともなう事
務工数が発生します。
(3)天秤に掛けたとき
会社として、メリットとデメリットを天秤に掛けた時、メリットがあると判断した場合は、
提案制度を推奨するでしょう。デメリットが大きいと判断した場合は、改善・提案活動を
やめることになるでしょう。
3.管理者にとっての改善・提案活動
(1)メリット
管理者は、改善・提案活動を実施することによって、職場の問題点を改善し生産性を
上げることができます。部下の自発性を育成できます。改善過程を通して部下に対する
OJT教育ができます。そして、改善という事実をもとに部下を褒めることができます。
(2)デメリット
ー方、デメリットとしては、忙しい中で改善・提案を審査する工数が発生しますし、不採
用提案については、却下理由を説明しないと部下のやる気を阻害します。
また、部下に対して改善OJT教育ができる反面、管理者が部下以上の着眼・着想能
力を持たないとシメシがっきません。下手をすると部下に自分の能力を試されるハメに
なりますし、管理者の権威を落とすことになるかもしれません。
(3)天秤に掛けたとき
管理者として、メリットとデメリットを天秤に掛けたとき、メリットがあると判断した場合は、
部下に対し改善・提案活動を積極的に進めるよう働きかけるでしょう。デメリットが大きい
と判断した場合は、消極的になるでしょう。
4.提案者にとっての改善・提案活動
(1)メリット
提案者は、改善・提案活動を実施することによって、仕事が楽になります。上司や仲間
に、あいつはデキル奴と認めてもらえます。
自分の能力向上に役立ちます。創造性が身にっきます。そして、給料以外に賞金という
ものが手に入り、しかも自分の努力次第でどんどん稼ぐことができます。
(2)デメリット
ー方、デメリットとしては、改善すべき問題点を見っけきらなけれぱなりません。
仮に、問題点が分かっていても、どのように解決したらよいか、アイデアが浮かばなけれ
ば解決のメドは立ちません。
また、実施するとなると、上司の説得、同僚達への説得、前後関係者の了解と・…面倒な
話です。
しかも、改善が上手く行くとは限らないし、失敗したら自分の評価を落とすことになり
ます。
その上、改善した結果を所定の用紙に書いて出さなければ評価してもらえないとく
れば、難儀な話です。
(3)天秤に掛けたとき
提案者として、メリットとデメリットを天秤に掛けたとき、メリットがあると判断した場合
は、積極的に改善・提案活動に取り組むでしょう。デメリットが大きいと判断した場合は、
消極的になるでしょう。
5.提案事務局としての対応
職場の改善・提案活動活性化の成否は、その職場の管理者にあります。
従って、時には管理者を集め全社提案委員長(役員)から改善・提案活動状況を話し
てもらい関心を持たせるのも一:っの方法です。
また、管理者の中には、部下の失敗は管理者の汚点と受け止め、部下の改善を避
けたがる人がいます。こうした場合は、小集団活動を奨励するなど、提案事務局はそ
れなりの知恵を働かさなければなりません。