チュウシャクシギ
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| ゴールデンウイークの後半戦、三重県一志郡三雲町の海岸へ、春の渡りのシギやチドリに会いに出掛けた。太平洋は広くて大きくて、普段見慣れた瀬戸内海とは開放感が違う。潮風の吹き抜ける堤防に車を止め、潮干狩りの行楽客に混じって広大な砂浜をチョコチョコ歩いているシギを眺める。大小合わせて何百羽いるだろう。数えるのもバカらしくなるほど、どっちを向いてもシギやチドリだ。 「ホイピピピピピ・・・」よく通る声でチュウシャクシギが鳴く。地元・甲子園の干潟でもお馴染みのシギだが、初めて見たときはビックリした。グニャッと下に曲がった嘴は、子供の頃雑木林で見かけたゾウムシの仲間にそっくりだ。何とも不思議なその形は、きっと餌を採りやすいように進化したものだろう。曲がっている方が砂の中に潜り込んだカニを捕まえるのに便利なのに違いない。器用に嘴を砂に突っ込んで餌をひっぱり出す姿は、見ていて飽きることがない。 夕刻、潮が満ちてきた。シギたちは海の真ん中に島のように取り残された砂の上で寄り添っている。完全に潮が満ちる頃、彼等は塒入りするに違いない。僕もそろそろ今宵の塒を探すとしよう。 しばらく堤防の上を走り、陸側に目を移すと、田植えが終わったばかりの田んぼにチュウシャクシギが約50羽翼を休めているのを見つけた。ここを塒と定めたらしい。僕も彼等を遠望できる堤防の上を塒と決めた。今夜はここで車中泊。遠く街の灯が点っている。周りには勿論人っ子一人いない。 狭い車内でシュラフに潜り込み、目を閉じていると、いろんな音が聞こえてくる。波の音、遠くを走る車やバイクのエンジン音、カエルの鳴き声、オオヨシキリの寝言・・・。 南の島からやって来て、遠い北の国まで何千キロもの旅を続けるチュウシャクシギたち。長い旅の途上で、今彼等は何を思って眠るのだろう。同じ夜空の下、少しでもその気持ちを理解したいと、僕はじっと耳を澄ませていた。 |
| (2000/5/7) |