ツリスガラ


 「中田君、ホタテ美味いわあ!鍋にも入れて、刺身にもしてもろたんや!」昨夜9時過ぎ、西宮のS氏から電話が入った。ほろ酔い加減、そう、昨日は年末恒例Kさんのお店での鳥仲間の忘年会。さすがに今年は参加できないので、ほんの少しだがホタテを差し入れしたのだった。「喜んで頂けましたか?」「みんな喜んでるで!ちょっと待ってなあ、電話、代わるし・・・」「もしもーし!」「バーダーの著者紹介、なんでネクタイやねん!」(ワハハハ・・・)「あれ、バーダー、もう出てるんですか?」「出てる、出てる。まだ見てへんの?」・・鍋をつつきながらワイワイやっている様子が伝わってくる。半年も経っていないのに、なんだか懐かしい声、声。「そうや、Kさんがホタテ開けるのに苦労した言うとったで」「僕もよく知りませんけど、なんか開くのにコツがあるらしいですよ」市場の人に聞くところ、ホタテはどこだかヘラを差し込むとパカッと面白いように開くそうだ。専用の道具でもあるのだろうか。
 
 専用の道具ということで思い出したのだが、ツリスガラという鳥を見ていて一つ発見したことがある。この小鳥は、冬、主に西日本の芦原に渡ってくる。集団でツイーツイー鳴きながら、芦の茎をパチパチ割って、中にいる虫を餌にしている鳥だ。あんまり人を気にしないので、目の前までやってきてその餌採りを見せてくれる。嘴で芦の茎を挟んで割るのだろうと、何の気なしに見ていた僕の目から、鱗がポロリと落ちた。意に反し、小鳥は嘴を芦に突き立て、茎を縦にこじ開けたのだ。「へえ!」よくよく見るとツリスガラの小さな嘴は鋭利な刃物のように尖っている。芦の茎を小さな力で割るための立派な道具だ。餌に適応した嘴を、こんな小さな鳥でも持っている。生き物というのは何と面白いものだろう。

 「中田君、来年はちゃんと来てくれよなあ!」(ワハハハ・・・)「そうですね。来年は是非!」「じゃあ、どうもありがとう。またなあ!」「どうも、どうも」何はともあれ、北の特産物が話しのネタになってくれたようだ。何はともあれ、良かった、良かった。
(2000/12/17)