ツバメチドリ


 まだまだ陽射しのきつい干拓地に、今年もツバメチドリの小群が舞い降りる季節となった。この鳥たちが来ると、「ああ、今年の夏も終わったのだ」と思う。僕にとってはそんな季節代わりを告げる旅鳥の一種だ。
 「ツバメチドリ」、その名の示すとおり、ツバメのように飛び、チドリのように歩く。飛翔は大変巧み。乾いた畑から、長く鋭い翼を一瞬羽ばたかせたかと思うと、ぐんぐんとスピードを増して空を駆け、嘴にトンボを捕らえる。先のとがった翼、大きく開く嘴は、ツバメやヨタカ同様、空中での捕食には最大の武器となる。それにしても、アマツバメ、ツバメ、ツバメチドリ、ヨタカ・・・全く異なる種類の鳥たちが、空中生活への適応という共通項で、進化の果て、非常に似た形態となるとは、なんとも不思議で興味深い話だ。
 ツバメチドリの夏羽は、嘴の根元が赤くて、喉が黄白色をしているそうだ。夏の終わりには、既にすすけた地味な冬羽に変わっているので、僕はこの鳥の夏羽というものをちゃんと見たことがない。群れの中に一羽くらい気まぐれなやつがいて、夏羽を披露してくれないかなあ、等と思いながら、もう何年も経った。さて、今年のツバメチドリたちはどうだろう。この辺でそろそろ手を打って欲しいのだけど。  
(1999/8/22)