シマエナガ
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| 年が明け、世紀が変わった。青森は元旦から大荒れ、吹雪の毎日だ。毎日降り積む雪を朝早くから除雪車がガリガリと押しのけてゆく。雪は路肩に積み上げられ、もう人の背丈ほどになった。横断歩道を渡るのに、こんもり盛り上がった雪の丘を乗り越えなければならない。 夕刻、吹雪の中、写真屋まで仕上がった写真を受け取りに出かけた。年末、北海道で撮影したフイルムだ。旅先の写真は、無我夢中でシャッターを切っていることが殆どだから、仕上がったフイルムを見ていると、「こんなの撮ったかなあ?」というようなカットが沢山ある。おまけに今回は年末年始をはさみ時間が経っているので、ますます何を撮ったか記憶が曖昧だった。帰宅後、ライトボックスとルーペを用意し、1枚1枚出来具合を点検する。緊張の一瞬。「ピンぼけ」、「没」、「没」、「没」、「没」、「・・・」次のフイルム、また次のフイルム。全部見終わってがっくりうなだれる。何年撮ってもピンぼけとブレの山。動きのない樹洞のエゾフクロウまでピンぼけしているのには閉口した。「うー・・・」声にならない声をあげて床に大の字になる。しばらく転がってガバっと起き上がる。もう一度ルーペを覗くが、ピンぼけはピンぼけだ。「うーあー・・・」 今回、一番残念だったカットが上の写真だ。シマエナガ。本州のエナガと違って、過眼線の無い、真っ白な顔をしている。雪のような小鳥。この小鳥が群れて林の梢を渡ってゆく風景が好きだ。実は、北海道を思うとき、真っ先に思い浮かべるのがこの鳥だった。これまで何度旅してもシャッターチャンスに恵まれなかった。それが、今回の旅で初めてそのチャンスが巡ってきたのだ。何を撮ったか記憶が曖昧な中、この鳥に向かってシャッターを切ったことだけは忘れていなかった。ひそかに期待していただけに、ピンぼけには正直がっかりした。 「何度撮ってもうまく撮れないから、また撮りたいと思うのだ。何でも撮れたら面白くないに違いない」そんな屁理屈を唱えて気を取り直す。そして、もう一度ルーペを覗く。「うーあー・・・」再び床に転がった。 |
| (2001/1/6) |