オオマシコ
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| 気圧配置が冬型になったので、雪を期待して能勢妙見山に出掛けた。学生の頃、雪の中のウソを見て以来、今日に至るまで季節を問わず幾度となく足を運んだ場所だ。山頂の駐車場に車を止め、機材を背負い、桜の広場までの山道を鳥を探しながら歩く。北西の風がきつい。晴れていた空が急に暗くなると、横殴りの雪が降り始めた。この時期の山道はとても歩きにくい。日陰の雪は踏み固められて氷になり、日当たりの良いところはドロドロにぬかるんでいる。鳥を探しながら、足下を気にしながら、ゆっくりゆっくり歩く。20分程経ったろうか、右手に墓地が見えるあたりで立ち止まり、よっこらしょと三脚を肩から下ろした。僕は、3年前この場所で出会った、ある鳥のことを思い出していた。 1997年2月22日、その日も桜の広場を目指して歩いていた。あたりは一面雪。前日から断続的に降り続いた雪が20センチくらい積もっていただろうか。防寒長靴が新雪にサクサク埋もれる。北風は足下の粉雪を巻き上げ、時折視界を悪くした。春の重たい雪ではなく、サラサラの冬の雪。妙見山には珍しい光景だった。 その鳥に出会ったのは、桜の広場で折り返して山頂へ戻る帰り道だった。相変わらず風はきつく、時折粉雪が舞う。冷たくなった頬を手袋をつけた手で覆うと、吐く息の温もりで少し生き返るような心地がした。粉雪の向こうに鳥影が動いた気がして、双眼鏡を目に当てる。真っ赤な鳥が視界に飛び込んできた。「オオマシコ!」心臓がドクンと鳴った。この山で出会う日が来るとは思いもしなかった。真っ赤なオオマシコの雄は、茶色で地味な雌と一緒に枯れた萩の実をついばんでいた。 1996〜7年の冬は全国的にオオマシコの渡来数が多く、例年なら姿を見ることのない関西や、南は九州まで観察された。僕も、大阪の箕面市にやって来た群を二ヶ月以上かけて嫌という程撮影していた。しかし、箕面で撮影した100枚の写真は、雪の日、妙見山に姿を現した、たった2羽のオオマシコの出現で、すっかりかすんでしまった。 あれから3年経った今日、萩の実は誰にも食べられることなく枯れた小さな実を風に晒していた。吹き付ける雪の向こうにあの日の鳥影を探したが、結局何も見つけることはできなかった。 |
| (2000/2/27) |