オオジュリン
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| 夏の間、高い山で繁殖し、冬、里に下りてくる鳥を漂鳥と呼ぶそうだが、夏、日本の北の地方で繁殖し、冬、南下する鳥のことを何と呼ぶのだろう。繁殖地では夏鳥、越冬地では冬鳥だろうか。そんな鳥の一種に、オオジュリンという小鳥がいる。オオジュリンは夏、北海道や東北地方の草原で繁殖し、冬、本州の芦原に移動する。 僕はつい先月まで、大阪より東で暮らしたことがなかったから、お馴染みのオオジュリンは、枯れ草色をした冬羽の小鳥だった。脳裏に浮かぶオオジュリンのいる風景は、風に消えそうな細い声と冬枯れの芦原だった。大阪の淀川で、兵庫の加古川で、ある時はツリスガラと、またある時はヌートリアと一緒に見かけるような、そんな鳥だと思っていた。 初めて夏の北海道を旅した時に出会ったオオジュリンは、僕の知るオオジュリンではなく、頭と顔が真っ黒の別人だった。原生花園の花の上に颯爽と止まり、天に向かって高らかに囀る。まるで立派なステージで舞台衣装をばっちり決めた歌手みたいだ。「チーッ、チーッ、チーッ」・・・ん?「チーッ、チーッ、チーッ」・・・いつまでたっても細く、単調なメロディの繰り返し。他の鳥のように長く複雑な囀りを期待していた僕は、少々拍子抜けしてしまった。 青森に来て、初めて仏沼に出掛けた際、コジュリン、オオセッカ、ホオアカなどに混じって聞き覚えのある囀りが聞こえてきた。「チーッ、チーッ、チーッ」細く単調なメロディ。背の高い芦の茎に止まって、真っ黒な顔のオオジュリンが歌っていた。「チーッ、チーッ、チーッ」相変わらず下手な歌だ。「チーッ、チーッ、チーッ」とても下手だけど、とても懐かしい、そんないい歌だ。 |
| (2000/8/6) |