オオバン


 クイナの仲間のオオバンは、全身真っ黒で嘴と額が白い鳥。ちょっと大きな池や湖で、水草が生えているようなところに住んでいる。首を前後に動かしながら、水面をクイックイッと泳ぎ、頭を水の中に突っ込んでは水草をバクバク食べる。夏にこの鳥を見ていると、実に暑苦しい。動きがせかせかしている上に黒装束。水草をダラーンと嘴から垂らした顔を見ていると、なんだか汗がどっと出てくる。
 でも、オオバンにしてみれば、ちょっと違うのかも知れない。育ちに育った水草は、自分の隠れ家であり、食料でもある。何の苦労もなく、身の回りは好物だらけ。いつも泳いでいるから、暑くもない。水浴びなんかすると、涼しいかもしれない。
 そう思うと暑いのはただ一人、オオバンを見ている自分だけだ。オオバンのとぼけた顔を見ていると、どんどんやる気が無くなってくる。家に帰ってクーラーの利いた部屋でゴロゴロしたくなる。オオバンは僕にとって、戦意喪失度ナンバーワンの鳥だ。
(1999/8/15)