メジロ


 桜が咲くと毎年出掛ける秘密の場所がある。満開の木の側でぼんやり待っていると、メジロが数羽、チーチー鳴きながらやって来る。メジロは花の蜜が大好物で、花から花へ飛び回る。あんまり蜜を吸うのに夢中なものだから、すぐ目の前の枝に来ても、僕の存在に気がつかない。ふと顔を上げた拍子に目があった時の、びっくりした表情が可笑しい。
 そんなメジロたちを眺めていると、一日経つのはあっという間だ。夕方、太陽が西の山に傾いて、風が冷たくなる頃、彼等はねぐらに帰っていく。彼等を見送って、僕も家路を急ぐ。あのびっくりした顔を思い出しながら。
(1999/3/27)