コガモ


 春先、ぽかぽか陽気に誘われて川沿いの土手をぶらぶら歩いていると、カモの数がめっきり減ったことに気づく。冬の間、グワグワ鳴きながら大騒ぎし、あちこちの池や河原や浜辺で人の心を和ませてきたカモたちがひっそり姿を消して行く。北帰行が始まったのだ。
 そんなカモたちの中で、お尻の重いのがコガモ。桜が散っても、まだ平気な顔で水辺に居座っている。寂しくなった水面を我が物顔で泳ぐ。身体が小さくて他の大きなカモ達に遠慮していた冬の分を、取り返そうとしているのだろうか?
 川面を見つめる僕の目の前で、コガモが嬉しそうにグッと羽を伸ばした。
(1999/3/20)