ホオジロ
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| 神戸森林植物園は、自宅からさほど遠くないこともあって、今やホームグラウンドのような場所になっている。早起きが苦手なので、移動に時間をかけていると鳥を見る暇が無くなってしまうという事情もある。 今日もお昼過ぎ、森林植物園に出掛けた。天気は高曇り。暖かくも寒くもなく、ちょうど良い具合。ウグイスがホーホケキョと囀り、キジのケーンケーンという鳴き声も響いている。カタクリが薄いピンク色の花を咲かせ、サンシュユの黄色、ヤナギの緑が目に優しい。桜やコブシ、モクレンはまだ花芽のまま。梅はようやく七分咲きだ。冬の間、人影が殆どない公園だが、春になると家族連れやアベックがどこからか現れ、そこそこの賑わいを見せる。 この時期、鳥影は薄いが、キクイタダキやトラツグミ、シロハラなどを見つけて成果はまずまず。問題なのは鼻のむずむずだった。ヤシャブシが花を沢山つけているのを見た瞬間から嫌な予感がしていた。僕の花粉症はどうやらヤシャブシと関係があるようなのだ。フワッ、フワッ、フワーックション!一度始まると止まらない。フワーックション、ズルズル・・・アベックが胡散臭そうにこちらを見ながら通り過ぎた。「好きでくしゃみしてるんじゃ、ふぁ、ふぁ、・・・ファックション!」もうどうにも止まらない。「グラウンドに行こう。あそこなら木があまりない。そうや・・・」植物園と併設されているグラウンドを目指す。鳥どころではないが、芝生の上にホオジロやツグミがいるはずだ。 グラウンドには案の定、ホオジロが沢山いた。10羽くらいの群で地面に下りて餌を探している。「チチチ、チチチ」鼻の調子は相変わらず。山全体がヤシャブシに覆われている六甲山系に、逃げ場などあるはずがなかった。ホオジロが一羽、高い枝に止まって「一筆啓上仕り候」と囀り始めた。カメラを構えてにじり寄る。「よーし、よし・・・ふぁ、ふぁ、ファーックション!」「チチチチチ・・・」ホオジロは軽やかに飛び去った。「うぁぁー・・・ふぁ、ふぁ、ファーッ、チクショーイ!」花粉症のバードウオッチャーは、この時期どうやって暮らしているのだろう。飛び去るホオジロの後ろ姿を見つめながら、朦朧とする意識の中で僕は考えていた。 |
| (2000/4/2) |