オオヒシクイ


 滋賀県の湖北町に出掛けてきた。お目当てはオオヒシクイというガンの仲間。ガンの越冬地は全国的にも数が限られている。この鳥をまとまった数で見られる場所は、関西ではおそらく湖北町だけだろう。
 琵琶湖水鳥センター前あたりの湖面がオオヒシクイを含む水鳥たちの休息の場。水鳥センターに入って、今日観察された鳥を記録してあるホワイトボードを見る。オオヒシクイは90羽以上、コハクチョウは40羽以上来ているらしい。備え付けの望遠鏡で湖面を覗いてみると、オオヒシクイとコハクチョウが岸辺近くに群れて休んでいるのが見えた。カモは数え切れない程浮かんでいる。「おお・・・」ほぼ1年ぶりに見るガンとハクチョウだ。
 センターを出て、湖周道路沿いの歩道をてくてく歩く。葦の間に間に鳥が見え隠れする。小さな水路が湖に流れ込んでいるところにバードウオッチャーとカメラマンが4〜5人集まっていた。葦が切れて、水辺のオオヒシクイやコハクチョウがよく見える。挨拶して三脚を据えたが、逆光で水面は真っ白。写真はとても撮れそうにない。夕焼けで水面が赤く染まるのを期待して待つことにした。日没までたった3時間だ。
 
 11月とは思えないぽかぽか陽気の下、折り畳みイスを出して腰掛けていると、遊歩道をいろんな人が通り過ぎていった。皆、コハクチョウを見ては感激の声をあげている。「あの黒いの何やろね?」オオヒシクイはあまり人気が無いようだ。
 眠っているオオヒシクイは時折首を伸ばしてあたりを見渡す。「K10」と書かれた赤い首輪をつけたのも1羽いた。「ガハン、ガハハン」よく通る声で思い出したように鳴く。翼をはばたかせて羽繕いし、水面をちょっとだけ泳いで、そして眠る。これの繰り返しだ。
 
 お天道様はあっという間に傾き始め、風が冷たくなってきた。フリースを着込んで、いよいよカメラの出番!と思ったら、期待したほど水面は赤くならなかった。思うように撮影できないまま太陽は山の向こうに姿を消してしまった。「仕方ないか・・・」機材を片づけてとぼとぼ歩き始めた時、「飛んだ!」と誰かが叫んだ。鉤になり竿になり、オオヒシクイの群れは南東の空に消えていった。 
(1999/11/6)
琵琶湖水鳥センターのホームページ http://www.biwa.ne.jp/~nio/
オオヒシクイ、コハクチョウの最新情報が掲載されていて、参考になります。