ヒバリ


 金はないが時間だけは沢山あった学生の頃。「いずれ働くからバイトする必要はない」という持論のもと、日々無為に過ごしていた。暇なときは自転車に乗って、近くの河原へ出掛けるのが常だった。
 学生時代を過ごした大阪府池田市の西のはずれに、猪名川という川が流れていた。ゴミだらけの平凡な川で、特にこれといった鳥がいるわけではないが、春になるとヒバリのさえずりがあちこちから聞こえてきた。その声を聞きながら川面を眺めて時間をつぶすのが好きだった。
 ヒバリはさえずる時、高く高く舞い上がる。ビュルビュル鳴きながら点のようになるまで飛んでいく。そんなヒバリを眺めながら、あのとき一体何を考えていたのか。
 今の自分があの頃に戻ることができたら何をするだろう。やっぱり一日中河原でぼーっと過ごしているような、そんな気がする。
(1999/3/10)