ハシボソガラス
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| 青森への転居が決まって考えたことは、最初に見る鳥は何だろうかということだった。小さなことだけれど、これからの運命を暗示する大切なことのような気がしていた。 2000年7月9日夕刻、青森空港に降り立ち、市内に向かうバスに乗り込む。天気は悪く小雨が降っていた。寒い。そういえば飛行機の中で、青森の気温は18度だと言っていた。 飛行機の乗客が関西空港で預けた荷物を全て受け取り乗り込んで来るまで、バスはブルブルエンジンをかけたまま待っている。この北の地で最初に見る鳥は何か・・・少し緊張してきた。ブルン、ブルルーン、とうとうバスが動き始める。空港を出て真っ直ぐな道を行く。見たことのない並木。よくよく見るとナナカマドのようだ。まだ実は青く、葉は茂っているが、間違いない。いいぞいいぞ。冬には赤く熟した実に小鳥が群がるだろう。雪が降って、それはそれは美しい風景に違いない。いいぞいいぞー!一人興奮しているとナナカマドに鳥影が見えた。黒い。大きい。「アホー!」閉め切ったバスの窓越しに、聞こえるはずのない声が聞こえた。ハシボソガラス。僕が青森で初めて見た鳥だった。 青森市の中心部から3キロほど離れた我が新居のアパートは、スーパー、ホームセンター、ガソリンスタンド、書店等が立ち並ぶ幹線道路にほど近い非常に便利な場所にあった。しかし、家の周りにはまだまだ田んぼが残っていて、夜にはカエルの鳴き声、昼間は小さな芦原からオオヨシキリの囀りが聞こえてくる、そんなのどかな一面も持ち合わせている土地だ。 通勤時間が30分と、神戸にいた時の3分の1に減ったものだから、朝少し寝坊できる。8時前に家を出て、10分ほどの道のりをバス停に向かって歩く。時折田んぼや空き地が見える住宅街を抜けると幹線道路だ。この道のりで最初に目についた鳥もハシボソガラスだった。巣立ったばかりだろう、嘴のまだ短いカラスが3羽、親鳥に引き連れられて遊んでいた。最初に見た日は、空き地で地面をつついていた。次の日は、本屋の裏でゴミを漁っていた。そして今日、電線に3羽の子供たちだけが寄り添うように止まっていた。 帰宅後、妻にカラスの話をすると、彼女も気づいていたようで、買い物の際によく見かけると言っていた。 カラスでも毎日見ていると、不思議に情が移っていく。こうやって僕は青森の鳥たちがどんどん好きになっていくだろうと思った。 |
| (2000/7/14) |