ハシビロガモ


 風邪で調子が悪かったので、遠出はやめて久々に伊丹市の昆陽池に行ってみることにした。この時期の昆陽池はもう何年ぶりだろう。暖かい陽射しの下、昼過ぎ、現地に到着。池の様相は随分変わっていた。池の中に石垣(?)が築かれて、ユリカモメやオナガガモがびっしり止まっている。石垣の内側はカモ天国、外側には随分寂しい水面が広がっていた。昔ホシハジロが沢山浮いていた辺りの水面には、申し訳程度にキンクロハジロとミコアイサが浮かび、日本列島を模した島には、サギたちの代わりに無数のカワウが陣取っていた。真っ黒なカワウの群に占拠された島は、酸を含んだカワウの糞で木々が立ち枯れ、一種異様な雰囲気だ。
 10数年前と比較すれば、カモの数は半分、いや3分の1以下だろう。それでも餌場の周りには沢山のカモたちが群れていた。オナガガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ハシビロガモ。よく見ると、アメリカヒドリも1羽いる。「おお・・・」最近、逃げない鳥をあまり見ていなかったものだから、手に取るように近くにいるカモたちに少し感動してしまった。
 「あれあれ、おもろい!」家族連れが指さして笑っている。見ると、ハシビロガモがいた。ハシビロガモはその名のとおり嘴の幅が広いカモ。嘴の内側がブラシのようになっていて、水面をピチャピチャやりながら、プランクトンを濾して食べる(らしい)。面白いのは、他のカモの後ろを着いて泳ぐことだ。前を泳ぐカモが水を撹拌してくれるので、効率よく餌が採れる(らしい)。前のカモは迷惑そうだが、後ろのハシビロガモは楽しそう。
 ハシビロが3羽集まるともっと面白い。1羽の後ろにもう1羽、そのまた後ろにもう1羽。3羽並んで泳いでいると、何を思ったか先頭のカモが最後尾のカモのお尻を追いかけ始める。これで切れ目のないハシビロガモの輪の出来上がりだ。同じ場所をぐるぐる回る。その輪をめがけて、また他のハシビロがやってくる。1羽、また1羽。いつの間にか輪の中に入って最後には12羽のハシビロの輪ができた。ぐるぐる、ぐるぐる。見ていて飽きない。ぐるぐる、ぐるぐる。面白い、面白い。ぐるぐる、ぐるぐる・・・輪は30分経っても回り続けていた。ぐるぐる、ぐるぐる。頭がくらくらしてきた。「そういえば、風邪ひいてた・・・」気づいた時はもう遅い。
 「鳥は万病の元」熱っぽい身体で昆陽池を後にした。 
(1999/11/21)