アオバズク
![]() |
| 六甲山系の中腹に、毎夏、アオバズクの来る神社がある。ここは、車の乗り入れが禁止されているので、自転車で出掛けることにしている。 海と山の間のごく狭い範囲を東西に広がる神戸の街は、自転車で軽快に走れる平野部がごくわずか。南北の移動は、自転車向きではない。それでも、アオバズクに会いたくて、自転車に三脚をくくりつけ、カメラを詰め込んだザックを背負い、夏の陽射しの中を出掛けるのだ。 自宅を出発してまっすぐ北へ向かうと、国道2号線を越えたあたりから、ペダルをこぐ足が重くなってくる。 山手の住宅街に入ると、競輪選手でもなければ上れないような坂道となり、絶望的な気持ちで自転車を降りる。自動販売機をみつけて、スポーツ飲料を買う。一気に飲み干すと、飲んだ先から汗になる。牛のような歩み。背中のカメラが重い。 住宅がとぎれ、神社へと続くコンクリートの道がうねうねのびている。足下だけを見つめて自転車を押す。ぽたぽた落ちてくる汗。セミがワシャワシャ鳴いている。 坂道の途中、木陰で休憩。眼下には神戸の街並みと大阪湾。風はちっとも吹いてくれない。Tシャツはもう、しぼれる程。 捕虫網を持った子供が坂道を元気に駆け下りて来た。子供の頃、クワガタ虫を探して雑木林を走り回っていたことを思い出す。大人になった今は、アオバズクに会うために、大汗かいて自転車を押している。つくづく進歩のない人生だ。 ぬぐってもぬぐっても吹き出してくる汗。「神社に着いたら蚊に刺されるんだろうなあ・・・」、そんなことを考えながら、まだまだ続く坂道を一歩一歩登っていく。アオバズクに会うためには、ただただ登っていくしかない。 |
| (1999/7/18) |