029「山名夫妻の秘密(後)」



山名豊国室(?―?)


但馬国長井城主長越前守高連の三女といわれる。因幡国守護で鳥取城主山名豊国が、国人衆の反乱に悩まされたため、これを懐柔する手段として長高連の娘を側室に迎えたという。勇気と智恵の持ち主として、武勇談も伝わっている。


◆別にシリーズ化するつもりはなかったのだが、山名豊国のことを調べているうちに、その奥さんもなかなか面白い人だということがわかってしまった。わかってしまった以上、本コーナーで取り上げたい。そこで、ついに夫婦で登場願うことになった。

◆山名夫婦といっても、豊国には正室のほかに側室が数人いた。このうち、今回、主題としてとりあげる女性は、側室のひとりである。名前は伝わっていない。

◆彼女が山名豊国に嫁いだ時期は不明である。『因幡民談記』によれば、豊国の兄豊数を追放した武田高信を討つために、有力国人の長氏の娘を娶った、とあるから、豊国が武田国信を降して鳥取城を奪回した天正元年前後のことだろう。彼女を正室と見る向きもあるが、豊国の正室は叔父祐豊の娘であるとする資料が多いので、ここでは側室長氏としておこう。

◆ある時、山名豊国の邸へ盗賊団が押し入った。槍を手に必死に防戦する豊国。決して文弱の徒ではないのだが、腕のほうがイマイチ。

◆夫が賊に対している間、長氏は扉の陰に隠れていたが、隙をみてとっさに衣類を賊に投げつけた。衣類は、相手の刀のつかに巻きつく。どんどん衣類をなげつける長氏。衣類に埋もれてもがく賊を豊国が槍で突き殺してしまったので、賊の仲間はあわてて逃亡。みごとな夫婦の連携プレイである。

◆でも、豊国は正室(山名祐豊の女)のほうを本当は愛していた。一時、この奥さんを毛利家へ人質に出していたが、これが中国攻めの主将・羽柴秀吉に捕われてしまった。これを聞いた豊国は、いとも容易く鳥取城を家臣もろとも放り出して、単身、秀吉に降伏してしまったので、世間では「城よりも女房をとった」と非難された。現在では逆であろう。あなたが「女房よりも新築の家をとった」ら、世の女性の指弾を浴びることは間違いない。

◆豊国が鳥取城を見捨てて羽柴陣営へ転がりこんでいた、この間、長氏のほうはどこでどうしていたのかよくわかっていない。案外、夫が捨てた鳥取城内で秀吉の「干殺し」に遇っていたとも考えられる。そう考えると、次に紹介するエピソードが生きてくるのである。

◆この長氏にはもうひとつ人には言えない秘密があった。
餅を食さないのである。理由は、以前、餅をのどにつまらせたのを夫に笑われたからであった。ひょっとして、鳥取城内での籠城に耐えているうちに、食べ物を見ると、がっつくクセがついてしまったのかもしれない。餅を食べるとよく喉につまらせた。
山名豊国、喉に餅がつかえて苦しんでいる長氏を見ながら、
「おまえは餅が好きなんだなあ。アハハハ」
なんて、言ってた。
まったく、盗賊退治の時には、女房の機転で難を逃れたというのに、逆に相手の危機を笑って見ているとは、軽薄なやつだ。しかし、「他人の不幸は密の味」というからね。

◆唐突だが、愛情度チェック。貴女は、彼が運転する車の助手席に乗っている。ドライブの途中、事故に遭遇してしまった。この事故で、助手席に乗ってた貴女が怪我をして、彼のほうがピンピンしてたら、今後のおつきあいを考え直したほうがいいかもよ。事故の時には運転席よりも助手席が危ない、というのは根拠があることなのだろうか。案外、彼が障害物をよけようと、ハンドルをきって、とっさに自分を庇ってしまい、助手席の貴女が障害物にドカン・・・となったのかも・・・?。

◆話が脱線した。実際に似たような場面に出くわした方、深く考えこまないでね(笑)

◆可哀相に、夫に笑われた長氏は、これを恥じて、その後、死ぬまで餅を食べなかったというから、よほど悔しかったのだろう(笑)。

◆女性は旦那(恋人)にからかわれたことは、一生忘れないよ。あなたも気をつけよう。ちなみに、あなたがいる前で、奥さんや恋人が餅を喉につまらせたら、苦しみもがいて踊っているのを楽しんで見てないで、素早く掃除機などを口にカポッとあてがって、最大パワーで取り除いてあげよう。その際、先端のブラシ部分ははずしておいてね。女性の口が幅広になっちゃうから。

うまくお餅をGETできれば、ポイント獲得、彼女の心はもうあなたのもの!。





XFILE・MENU