002「濃姫はセクシー」



濃姫(1535?―?)


帰蝶。斎藤道三の娘。母は明智氏小見の方。天文十七年(1548)秋、平手政秀の周旋で信長と婚約。婚儀は翌年二月二十四日と伝えられる。「濃姫」とは「美濃から来た姫」ということで織田家中で使用された呼称か。その後、記録に登場せず、病死・離縁などの説が有力。近年になって、総見寺過去帳などをもとに「織田家にとどまりつづけ、本能寺以後も生存していた」という説が提出され注目を浴びている。

★こんなこと考えるの、自分だけかな。濃姫というとミョーにエロティックなイメージを抱いている。名前から「濃艶」などいう字を想像してしまうし、蝮といわれた道三の娘だから、「毒性」もあったに違いないとか・・・。しかも、母親の小見の方(明智氏)は美濃一の美女といわれたから、さぞかし濃姫も美しかったのだろう、と勝手に考えてしまう。肖像画が残っているお市の方以上に美人だったのではないか、と思わせてしまうところがある。記録では信長と濃姫は「婚姻」してないからね。平手の爺さんが「縁談をまとめた」ということが『武功夜話』には出てくるけど、それっきりで、実際輿入れはなかったのではないか、という説も成り立つ。信長に嫁した後のことがまったくわからない、というミステリアスな一面があるのもいい。

★もっと「いけないこと」を考えると、ちゃんと輿入れしていたとするならば、あの粗野な信長に「手荒く扱われたのではないか」と(笑)。司馬遼太郎『国盗物語』でもはじめて信長と寝る時、信長から「笑い絵」を見せつけられて、「このとおりにやれ」とおもちゃ(笑)にされているしね。惜しくも絶版になってしまったけれど、池上遼一の『信長』に登場した濃姫も美人で、いきなり小姓たちや侍女たちの目の前で信長に押し倒されたり、指を入れられちゃったり(爆)と。これらのイメージがあるせいなのかなあ。史実でもちょっとアブノーマルな体位とかを強要されていたんじゃないか、と・・・まあ、妄想はこのへんでとめておこう。

★このホームページのランキングでも女性では一位だ。(ちなみに二位はお市の方)「信長と濃姫のペアがいい」という方もいる。「鬼の夫には蛇の女房が似合う」と言ったのは細川ガラシャだが、信長&濃姫というのもその言葉どおりだな。そういえば、大河ドラマのオープンセットを見学に行った時、楽市楽座(売店)で「濃姫御膳」なんてのを食べたっけ。

★しかし、史実の二人の仲はそう睦まじいものでもなかったらしい。第一に二人の間には子供が生まれていない。信忠・信雄などは側室生駒氏の腹で、すでに濃姫は病没していたとか、実家に帰されていたとか言われている。というのも、この頃、斎藤義龍が父道三を殺し、織田家とは敵対関係になったからで、信長は美濃との断交の意味で、濃姫を送り返してしまったという。なかには「信長に殺されてしまったのでは」と考える人もいる。あるいは織田家を出て、のちに斎藤氏を滅ぼした恨みを晴らすため、本能寺の変を演出する、という奇説まで唱えられている。遠藤周作の『男の一生』でもちらりと姿を見せているけど、斎藤家旧臣たちとお寺に集まって何やら密談している場面が出てきた。もっとも同じ遠藤氏の『決戦の時』では早々に病死してしまっているけれども。ひどいのになると、濃姫は輿入れ前に従兄弟の明智光秀と密通していたなんて話まである。

★もうひとつ。気になるのが、濃姫の知行地が堺にあり、今井宗久が管理していたらしい、ということ。NHK大河ドラマで濃姫(菊池桃子)が信長のもとを出て行き、堺の今井宗久のところへ居候して、商売の真似事などをやってる場面があったのを覚えている方もいるだろう。あれはこのことを下敷きにしているようだ。もっとも堺のどこに濃姫の知行地があったのか、実際に濃姫が堺に行ったのかどうかは不明だ。

★ともかく信長の美濃併呑以後、濃姫の消息はふっつり途切れているのだが、わたしは「生きていた」と考えている。

★本能寺の変で信長とともに死んだ「おのう」は別人だという説が濃厚だ。あれは老女の名前だという。信長晩年の相手はお鍋の方と呼ばれる後家で、この時は安土にいた。テレビや小説などでは長らく信長と濃姫は仲良く本能寺で死んでいったが、最近の信長は「ひとりで死ぬ」ようだ。

★近年、注目を浴びているのが、本能寺の変後、蒲生賢秀が安土城から信長の妻子を非難させた、という『信長公記』の記事。この妻子のなかに「安土殿」という女性がいて、これが濃姫ではないか、とする説。安土殿という名は織田信雄の分限帳に出てくる。この女性は信雄が面倒を見て慶長十七年に亡くなったという。さらに、大徳寺総見院から濃姫のものとされる墓も見つかった。法名は養華院殿要津妙玄大姉。ただし、お鍋の方も慶長十七年没、墓が総見院にあり、両者を混同している可能性もある。

★どうです、だんだん濃姫がイイ女に見えてきませんか?


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