REALITY CHECK

書誌情報


著者:Brad Wieners & David Pescovitz

書名:REALITY CHECK

発行所:HARDWIRED San Francisco

発行日:FIRST EDITION 1996

定価:US$ 16.95

ISBN:1-888869-03-8


感想文


これから、生きていくうえで、自分に影響を大いに及ぼしそうなこと。そういうことには自分なりの展望を、自分なりの感覚で持っていたい物である。そのために、良質のSF映画を観たり、SFを読むように心がけている。そうはいいつつも、深く探求している訳でもない。「例えば・・・・?」と問われて返す答は、せいぜい「JM」とか「2001年宇宙の旅」とか「バック・トゥ−・ザ・フューチャー2」くらいのものである。深みも広がりもまだまだなのである。

同時代の最高のVISIONARYが、精根込めて想像を巡らし、こんなイメージのことが私たちの生活においても実現する。ということをこれらの作品は伝えてくれる。同時代の感受性豊かな人たちが、これらの作品からインスピレーションを受け、さまざまな分野でそれぞれに努力を傾ける。それが、次世代のイノベーションに繋がる。インターネットが研究者のものだったその初期において、最初に形成された電子的コミュニティがSFに関するものだったという話を聞いた事がある。なるほど、と思う。

本書は、私の上記のような気持ちを広い範囲で、かつ当代一流の専門家達の展望を一同に会するばかりでなく、関連のURLも掲載されている。とても便利な一冊だと思う。また、各ジャンルに関するコメントも洞察に富む物であるし、そして、後から要点を振り返ろうと思うのなら、bottom lineという各ジャンルの結論をチェックすればよいので、何度も何度も振り返りたくなるものである。

展望される課題は、情報通信関連のものとバイオテクノロジーのものが中心である。これは、私たちの時代におけるイノベーションがこれらの分野において起こることを想起させる。本書をさまざまな人々が読み、あるいは賛同し、あるいは、自らの分野でのイノベーションを進め、あるいは、疑問を感じて「○○年に実現」という展望を一層早める。きっとそんな動きにつながるのだろうと思う。座右に起き続けたい一冊である。5年後、10年後と折りに触れて読み返してみたい一冊である。

970522 新宿行き成田エクスプレス車上にて
phrases by 中川一郎




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