ビーイング・デジタル−ビットの時代−





以前から、ネグロポンテ氏の考えていること、書いていることが気になってしかたありませんでした。ようやく読了いたしました。この人の社会を観察する目は鋭く、ひとつひとつのたとえや挿話が洞察にあふれていました。「アトムからビットへ」・・・という本質を極めた人をしてはじめて言葉にしうる、平易かつきわめて判りやすく解説しうることを再度、実感した次第であります。

供給側におりますと、その時、その時の新技術の成果が「すごい」と思ってしまいがちです。しかし、この人はちがう。たとえば、音声認識についておおよそ的外れな完全性を目指した研究であるという評価。これは、ユーザの視点に加え、それも、潜在的なニーズについての洞察と技術の原理原則を十分に踏まえているゆえであり、「なるほど」と納得したしだいでした。

「楽観主義の時代」が最終章となっているのも、安心させられた次第。問題は解決される。オープンなるものは強し。このスタンスをみずからのなかに十分に確立していない中川は、環境に左右され、往々にして信念がグラつき、そのグラつきゆえ元気がなくなったりするのですが、このような刺激に触れ続け、自分に刺激を与え続けることで、信念として確立したいと感じた次第です。

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