電話会社が消える日


20世紀の終わりにふさわしいできごとが起ろうとしている。コミュニケーションをすればする程、懲罰的に金を取られるというおよそ人間の本性、善性を否定している としか思えないような(と思わなかったところがミソなのだが・・・)モードから、 本来のモードへの軌道修正を通信産業が迫られるという構図である。ギルダー的世界 が加速していくだろう。そう思わせる出来事である。

FWDの動きを参照(ここをクリック!)

インターネット電話の問題を解決されようとしている方たちの試みがある。Free World Dial-up という草の根の人たちの運動である。

発信側=パソコン/着信側=電話機

ということを実現するサーバーを世界にばらまこうという計画を実行に移しているもの。

個人的なことだが、義弟がフランスに留学しており、妻、妻の両親が高い国際電話料 金のために辟易している様子に、自分も一消費者として心を痛めている。現時点では 、Free World Dial-up運動のマック対応のクライアント・ソフトがない。そのためだ けにも95マシンを買おうか・・・という気持ちにすらなる。(義弟が帰国するのは夏 だから買わずじまいか?)

このような動きは制度的にも技術的にも止めることができず、逆らうことはできない だろう。米国の「通信・放送法」(Communications Act)改正の重要な側面として、 再販事業者を法律・制度面においても公認したことが上げられる。そして何よりも、 高い国際電話料金が、発信側の市内通話料金+着信側の市内通話料金となることは消 費者にとって喜ばしいことだからである。

電話サービスの金の流れ方を根本的に変えて異なる業態も含めて21世紀に向けて発 展するか、それとも線路・伝送設備および必要性が徐々に希薄になっていく交換機に よるサービスの卸会社にとどまるか。通信会社が問われているのはそういうことなのだ。

確実に言えること。これはインターネットのいわゆる「キラー・アプリケーション」 となる。ユーザはこれを喜んで迎える。そして、これまでの電話会社の世界観を脱却 できない通信会社とこのアプリケーションに対応できないプロバイダは一掃される。 3重の意味での「キラー・アプリケーション」なのだ。米国の中小長距離電話会社の 団体がこれに反対しFCCにpetitionを提出しているのと対象的にAT&TとMCIはインター ネット・サービスを無料にするキャンペーンを展開している。そして、日本でもHypernetとアスキーがスポンサーをインターネットに取り込み、ユーザから金を取らない という動きに出ている。

これは、「民放」におけるお金の動きをネット上に実現するものだ。インターネット ・カフェは街頭テレビと公衆電話のオシャレなバージョンと位置づけられ、ホットな スポットとなるだろう。ナビゲーター画面の下の空いているところにテロップを流す ことは、JAVAの名前しか知らないぼくですらできてしまう。パワー・ユーザーのホー ム・ページのソースをダウンロードし、" "のなかのテキストを変えるだけでできて しまったのだ。

革命は周辺からはじまるというテーゼのとおり、FWDはカナダでことを起している。HypernetもAsciiも丸ノ内、霞ヶ関、永田町にはない。しかし、Cyber Standard Time でものごとは進んでいく。ネットにつながっていない人々には、衝撃をもって迎えら れることだろう。まさに、20世紀の終わりにふさわしいできごとである。

問われているのは「明日はどっちだ?」という尾藤イサオの歌ったあの歌のこの問いだ。「最後に確認しておこう。我々は明日のジョーである。」(田宮高麿)という言葉もあった。

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