オービス捕まり記 7



罰金70,000円を確定する赤紙が届いてから一週間後、これが最後と思われる封書が届いた。送り先は「大宮区検察庁」であることからして、前回の通知にあったとおりの罰金の納付書(振込書)であろう。もう今更何が送られて来てもわくわくしない。無造作に封筒をビリッと破ると、中には前回同様薄い紙切れが一枚だけ入っていた。やはり納付書だ。いや、正確には「納付告知書(甲)」と書かれた紙を先頭に4枚の紙が繋がっている。それらの一部はカーボン紙になっており、そこに俺の名前や住所、罰金の金額が書かれている。

4枚の紙とは「納付告知書(甲)」「検・納付書・領収証書」「検・領収控え」「検・領収済通知書」である。それらがどのように違い、それぞれどのような役割を果たすのかを考えるのは面倒くさいので止めておく。が、少なくとも前回の疑問であった「誰に対して罰金を支払うのか」の解答は「大宮区検察庁に対して」であるらしい。

「納付告知書(甲)」には「別添納付書を日本銀行本店、支店、代理店又は歳入代理店に持参し、現金を納付して下さい」と書かれている。わざわざ日銀に持っていくのか? これを。 と思ったら、一番下の方に「もよりの市中銀行から納付してください」と書かれている。

どっちやねん。

さらにこう書かれている。「右の納付期限内に納付しないときは、強制執行を受けることがあります」 キャーーー。右の「納付期限」の欄には「1月○日」と書かれている。これは届いた日(今日)から、9日後だ。つまり9日以内に支払わないと、俺は”労役場に留置”されてしまうのだろうか。さらに、右上の方には「納付すべきもの」という欄があり、「罰金」の欄に○が付けられているが、他の項目として「科料」「追徴」「過料」「没収」「訴訟費用」「費用賠償」「民事納付金」がある。「訴訟費用」なんかもこの用紙で払うらしい。

とにかくこの4枚のうちのどれかを金融機関に持参し、罰金を支払えば全て処理は完了となるわけだ。面倒なので4枚とも持っていくことにしよう・・・・数日後、○くら銀行窓口。

「ピンポーン、699番の方、どうぞ」

田中H「えぇ、これを支払いたいんですが・・・」
受付嬢「はい、かしこまりました。こちらにお名前とお電話番号を
    ご記入ください」

渡された白い紙の該当欄に名前と電話番号を記入して渡す。 と同時に7万円を渡す俺。渡す瞬間、ちょっとくやしい。

受付嬢「はい、領収書です。」
田中H「・・・・」
受付嬢「・・・・」
田中H「・・・・」
受付嬢「・・・・」
田中H「・・・・あの、もう終わりですか?」
受付嬢「はい」

あっけない程の間に俺の7万円は大宮区検察庁の懐に飲み込まれてしまったのであった。やはりくやしい。しかし、終わったのだ。これで全てが。銀行の自動ドアから出てくる俺の表情はとても晴れやかだったことだろう。全てが終わった時点で、オービスに捕まってからおよそ2カ月が過ぎようとしていた。長い道のりだった。これほどの労力を強いられるとは・・・・

このように、オービスに捕まると、罰金もそうだが何よりも貴重な時間を奪われることになる。これを読んでいるみなさんも、くれぐれも気を付けて欲しい。


FIN

     

(長い間、ご愛読ありがとうございました)

著作者:田中H




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