「跳ぶ前に見ている」。そんな気もします。しかし、無闇やたらにアクションに移る前に、あるいは、既定の路線をひたすら進むという考え方ではなく、定量分析の前にまずコンセプトだと思っています。やはり、先人たちから学べるだけ学ぶと。さはさりながら、時間的制約はあるわけで、そこが難しいですが。しばらく、そのConceptual Workから離れた後に復帰するにはVisionaryとおぼしき人を捜してその人の書いていることをひたすら浴びるように読むことにつきると思っております。スマートではない愚直な方法論ですが、愚直しかないので愚直にやるわけですが。
98年末のジョージ・ギルダー(George Gilder)のレポートでGlobal Crossing社が紹介されており、
大雑把には上記のようなストーリーが展開していると思われたのでありました。果たしてどうなるのだろうか・・・という興味も湧いてきまして、98年版のTeletgeographyを読んでみたところ、三つのシナリオが提示されておりました。
以下、読みながらとったメモであります。
TELEGEOGRAPHY 1998 KENNETH NEIL CUKIER A SENIOR EDITOR FOR COMMUNICATIONSWEEK INTERNATIONAL P141 インターネットの展開に関して想定される三つのシナリオ 1.ネットワークの完全な統合(Complete Network Convergence) - 音声とデータを統合する単一のネットワークが出現する。 - 新たなアプリケーションに対応するための新たな帯域幅に対する 需要が、バックボーンの価格を上昇させる。 - 長距離音声通信が(ほぼ)無料となる。 - 新たな地域(Regional)インフラが米国中心のインターネットのあり 方(US-Centric INTERNET)を変える。 2. 異なるネットワークの並存 - 音声通信に最適なネットワークと、データ通信に最適なネットワ ークとが並存する。 - キャパシティが需要を超過し、バックボーンの価格の劇的な低 下を招来する。 - 大洋横断的な(Trans-Oceanic)帯域幅が低廉であるため、地 域インフラの形成が阻害され、米国中心のインターネットのあり方 が継続する。 - サービス志向の企業が低廉なバンド幅を活用し、キャリアのリ テールビジネスを蚕食する。 3. 1.、2.のどちらのシナリオでもあり、どちらでもない(Neither and Both) - 統合のための費用が原因となって、音声用、データ用の別網が 並存する。 - 既存電話網の世界が継続するために、(Mirroring take up of Telephony)世界的にインターネットの成長ペースが鈍化する。 - 帯域幅の供給過剰が価格の低下をもたらす。キャパシティは高 価格を維持するために、漸増するにとどまる。 - マルチメディアサービスが主に放送及びCATVのネットワークに とどまるために、統合に向けたトレンドは、トレンドであるにとどまる。 --------------------------------------------------------- この三つのシナリオの但し書きとして、インターネットがより娯楽メディア 化している傾向が決め手となる可能性もあるとしています。放送が示した ように娯楽コンテンツは言語や世界観の関係もあって、地域からの発信 が増えると。ウェブが娯楽メディアとして成立すると、娯楽コンテンツ (すなわち地域のコンテンツ)がより増加し、そのために、大洋横断的な 帯域幅よりも、地域の帯域幅への需要が高まるというわけです。99.02.14 中川一郎