99.01.11 B-Week on Telecom Industry '99


  今週のBusiness Weekでは、各業界の99年の展望が特集されておりまし
たが、その中の通信産業の展望を読みながらメモをとりました。何らか
のご参考になれば幸いです。

  規制から自由なプレイヤーが大胆な動きを展開しうる・・これが最大の
メッセージのようであります。この号では、98年の素晴らしい経営者25名
とかいう特集もやっています。基準として、株価の上昇率、利益の改善率、
それからどれだけインパクトのある大きな改革、意思決定を行い実行したか・・
というようなことも上げられておりました。通信業界から、SBCが入ってお
りました。

990111 B-Week on TeleCom Industry Outlook '99

pp60〜pp61

http://www.businessweek.com/1999/02/outlook99.htm

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Positives  -- プラス要因

☆  低コストとデータ伝送のブームにより、トラフィックが引き続き
    急成長する。
☆  世界中で規制撤廃(deregulation)が進展し、米国の通信会社に
    海外で事業機会を開いている。

Negatives -- マイナス要因

★  長距離通信、移動体通信の料金が急落し、利益が小さくなっている。
★  米国市場における新たな外国キャリアが、ビジネスユーザ向け市場
    における競合を激化する。
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PROGNOSIS 1999(1999年業界予測)

Includes Cable and Other Communications Services
              
                        '94                '99
OUTPUT         234.02           339.68  US$ billion 
EMPLOYMENT       1.06           1.26  millions of workers
PRODUCTIVITY   220.24         270.56  thousands of dollars per employee

Data:DRI/McGRAwhill
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★  1999年は規制当局次第の一年となる。FCCと州の規制当局が通信事業者
    の業態について、大きな影響を及ぼす。96年の通信法が展望していた
    競争状態は、未だに「約束されたもの」にとどまっており、現実とはな
    っていない。

★  1999年にかけて行われるほとんどの重要な意思決定に規制当局が関係し
    てくる。
− AmeritechとSBCの合併についてはFCCの判断が必要である。
− Ameritechは長距離通信サービスを提供する意向を有しているが、99年以
   降それが実現するか否かはFCCの判断による。
− Ameritechは全米規模のデータネットワークを構築しようとし、IBMのIGN
   の買収も検討したが、現存する規制により阻まれた。
− Ameritechのセキュリティ監視事業ですら、FCCによって拡大を阻まれた。
−「あたかもFCC が勝者と敗者を決めているように思える」とAmeritechの
   CEOであるRichard C.Notebaert氏はコメントする。

★ 99年に下される規制当局の決定のうち、最も重要なものは地域電話会社の
   合併に関するものである。
− SBCとAmeritechの合併。AT&TやMCI WorldComと伍するためには、財務面で
   この規模が必要としている。昨年、このUS62billionの合併を発表した際、
   両社のテリトリー以外の30都市で地域通信サービスを行うとまで表明した。
− 7月にはBell AtlanticとGTEとが、合併すると発表した。

★  FCCのスタッフがこの二件の巨大合併案件について積極的ではない。しかし、
    両案件が阻止されると見るのも性急だろう。この合併の認可と引き換えに、
    全米の地域通信市場に競争を導入できれば得るところは大きい。たとえば、
    FCCは地域通信の卸料金のディスカウント率を現行の18%から4〜50%にす
    るようにとの主張もできるはずだ。これが実現すれば、AT&TやMCI WorldCom
    が積極的に住宅向け地域通信サービスも提供できるようになるかもしれない。

★  もちろん、地域電話会社もFCCのいいなりにはならないだろう。最近の卸の
    ディスカウント率を決定したのは州の規制当局であり、裁判所は再三にわた
    って連邦ではなく州こそが、これらの料金、料率の設定を行う権限を有して
    いると裁定してきたのである。アナリストの一部には、FCCの決定に従うより
    も、Bell Atlantic、GTE、SBC、Ameritechは、合併案件を御破算にしてしま
    う可能性もあるとしている。

★ AT&Tの命運もFCCによって影響されるところが大きい。AT&Tが、TCIを買収し
   ようとしたのは、ケーブル会社のネットワークを使用して、地域電話サービ
   スや高速インターネット・アクセスを実現しようとしていたからである。
   しかし、AOLは、AT&T-TCIがAOLのコンテンツを提供することを強制するよう
   に、働きかけている。 FCCは概ねAT&T-TCIの合併が地域通信市場に競争をも
   たらすもものとして支持しており、AOLのこのような要望は受け入れられない
   だろうと見ている。

★ IP電話も規制の影響で導入が進まない可能性がある。現在、IP電話を提供し
   ている事業者は、地域通信会社に対するアクセス費用の支払いを免れている。
  (通常の通話サービスについては、1分あたり3〜4セントが課される。)
   このおかげもあって、Qwest Communicaitons International社は、IP長距離
   電話を全米で1分あたり9セントで提供できるのである。地域通信会社は、
   この抜け道をふさごうとしている。US West社とBellSouth社は規制当局の料
   金設定を待たずして、IP電話事業者に対してアクセス費用を請求しはじめた。

   FCCもIP電話に対して何らかのアクセス費用の負担を求める考え方に立ってい
   るようであるが、下院はインターネットに関するあらゆる課税的措置に反対
   している。

★  99年に最も好調と想定される通信事業者は、規制の影響を受けずに、フルに
    サービスを提供できる事業者である。MCI WorldComが典型的である。合併が
    完了すれば、完全に自社のネットワークですべての音声、データサービスを
    提供できるようになる。長距離ネットワークに加えて、同社は81の市場で
    地域通信サービスを提供している。これで地域通信会社との紛争を避けるこ
    とができるのである。 

99.01.11 中川一郎




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