− Memo B-Week 98.12.10 http://www.businessweek.com/ −−−− AT&Tの売り上げは、97年には1.5%しか上昇しなかった。また、98年は せいぜい伸びても2〜3%と予測されている。その理由は単純だ。同社の ほとんどの収入が、競争が激しく利益率が低下している長距離通信事業 に依存しているからである。 究極的な一撃がこの12月にAT&Tを見舞った。MCI-WorldComが時価総額に おいて、AT&Tを越えてしまったのである。投資家がMCI WorldComの方が 急速に成長しているデータ市場、国際市場においてAT&Tよりも良い位置を 占めていると考えているからである。 12月8日。アームストロング会長の低成長打開策が明確となった。 AT&TはIBMのIGNを50億ドルで吸収することにした。この取引が完了する 99年の中頃から、AT&Tの収入に毎年25億ドルが加算されることになる。 さらに重要なことに、このディールによってAT&Tは国際ネットワークと 5000名の大規模ネットワーク管理に長けた従業員を獲得することになる のだ。 この買収は、アームストロング会長が打ってきた買収戦略の仕上げとも 言えるだろう。1月に、TCGを110億ドルで買収し、米国の事業所市場の 地域通信事業に参入を果たした。また、6月には、TeleCommunications を330億ドルで買収し、住宅用地域通信事業への参入を果たしたので あった。 IGNの買収はBTとの合弁事業とも見事に整合する。AT&TとBTとは、 全世界の100都市に大容量のネットワークを構築するために、50億ドル かけると発表した。IGNは、すでに93都市をカバーしている。 ガートナー・グループによれば、AT&TとBTがターゲットとする市場は、 年間200億ドルから300億ドルの収入をもたらし、毎年10%から15%成長 する市場である。 しかし、効能は購えない。アナリストたちによれば、AT&TがIGNのために 支払った金額は、妥当と考えられていた水準よりも10億ドルほど高い。 ヨーロッパで新たなネットワークを構築しているViatel社のCEOである J. Mahoney氏は「80年代のネットワークに50億ドル払うなんて、 高すぎるよ」と非難する。 しかし、アームストロング会長は費用よりも、この買収のもたらす機会を 強調しており、証券市場も一応軍配をあげており、この発表のあった当日、 AT&Tの株価は67ドルへと上昇し、時価総額でMCI WorldComを上回ったの であった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−98.12.18 中川一郎