B-Week 98.08.31 on Cisco as a benchmark

中川@ a Business Week Reader です。

98年8月31日号のBusiness Weekの特集は、「21世紀の経済」という興味深いものであります。これは、久しぶりにしばらく保存、最初から最後まで全部読んでみたいなあと思えるものでありました。

そのなかで、"The Corporation of the Future"として、Cisco社が紹介されておりました。

重要顧客のニーズに合わせて経営戦略を作り実行する。これを実践しているようであります。そのためにトップが相当の時間を顧客の元で過ごすことに割き、重要顧客が何かが「足りない」ことを示唆すれば、企業買収という相当大きな打ち手も大胆に執行して、足らざるを補う。役員室にいる上級幹部たちよりも、重要顧客の方がニーズを知っているから。

あたりまえと思えますけれども、これを実践できるかいなか。21世紀に生き残れるかいなかがかかっているのだろうと思います。「はっ」としてしまいました。

以下、読みながらメモをとりました。何らかのご参考となれば、幸いです。


Business Week 98.08.31 pp 56-58

21 Century Economy

"The Corporation of the Future  -- Cisco is a good model.
  It reads the market well, responds quickly. And it knows
 how to harness high tech."

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p57

ネットに生きる −− Living on the Net

今年、Ciscoは、インターネットを経由US5Billion相当の売り上
げをで達成する。7割のテクニカル・ヘルプの要求は電子的に行
われる。顧客満足度は、人手が介在する場合よりもはるかに高い。

Chambers会長コメント

「このおかげで、1000名のエンジニアを節約することができた。
その1000名のエンジニアをサポート部門にまわす代わりに、新製
品開発にまわすことができる。これは、大きな競争優位だ。」

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p58

新たなマネジメント入門(New Management Primer)

シスコ社及び他の先進的企業から得られる重要な教訓

1)ネットワーク、ネットワーク、ネットワーク
   テクノロジーが、顧客、サプライや、ビジネス・パートナー、
そして従業員とのリンクを可能とする。したがって、それゆえに
可能となるスピードと生産性を最大限に活用するべきである。

2)顧客にフォーカスする
  核となる顧客によって戦略を決定させなさい。自社の幹部より
も顧客の方が何を欲しているかを熟知している。

   ---- シスコ社の例:Chambers会長の時間のうち、55%は顧客
        とともに過ごすことに使われており、毎日、毎晩、15
        もの重要顧客からのボイスメッセージをうけている。

   ---- inside out アプローチから、outside-in アプローチへの転換

3)買収を賢く行う(Buy Smart)
   買収は成長を早めたり、市場占有率を向上させることを目的と
   して実施するのではなく、知的資産や次世代のプロダクトを獲得
   するために実施する。

4)成功のためにチームづくりをしなさい(Team Up for Success)
   信頼と、短期的・長期的に双方にプラスになることを達成するポテ
   ンシャルに基づいてパートナーとの提携をしなさい。

5)富を分かち合いなさい(Share the Wealth)
   ベースの広いストック・オプションを活用して、核となる従業員に
   報い、確保しなさい。

6)パーソナル・タッチ(That Personal Touch)
   テクノロジーははかないが、人が顔を合わせた時間の価値は持続する。
(原文は、Technology goes only so far.  Face-time counts.相当、意訳)
   企業のリーダーは、従業員に対し自分自身で(in person)、コーチし、
   メンターし(mentor)、コミュニケートしなくてはならない。

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Voices(有識者によるコメント)

Clayton M. Christensen(ハーバード大学ビジネススクール教授、46歳)

Christensen氏は、1997年に画期的な"The Innovator's Dilemma:When New 
Techonlogies cause great firms fail."という著書を出した。良好にマネ
ージされた会社も、既存のテクノロジーを陳腐にしてしまう「破壊的」な
イノベーションには、うまく対応できていないと論じている。

「破壊的なイノベーションとうまく付き合える確率はゼロである。生き残
りを図るならば、自社自身を攻撃させるために別会社を設立しなくてはな
らない。」

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98.08.31 中川一郎





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