Business Week on Telecom Industry #3 -- '98 Spring



http://www.businessweek.com/1998/14/b3572010.htm

日本の通信業界参入規制緩和を受けて、Worldcomは真っ先に100%の現地法人を日本に設立し、早速、参入を開始している。日本における報道や、また、業界関係者の受け止め方は、「光ファイバ」に対する反応が強いように思われる。一方、WorldcomがUUNetを擁し、また、MCIを買収することで、インターネットにおける最強プレイヤーたらんとしている点が、日本国内ではまだ見過ごされているような気もする。

今回のインタビュー記事を読みながら、Worldcom内においても、光ウィングから、IPウィングへの大展開が起ることを感じられる。今後の展開に引き続き注目したい。

以下が中川によるメモである。

In Depth Q&A with Industry Leaders

Q&A with Worldcom's John Sidgmore

以下は記事を読みながら取ったメモであります。

○成長著しいWorldcom社の事業の中でも、インターネット事業の成長はめざましい。

- MCIとの合併以前のベースで、Worldcomは、US$2billionの収入をインターネット
事業から見込んでいる。これは、全売り上げの20%から、30%に相当する。その成長
は、40%にも上るWorldcom社の売り上げの成長率よりも高い。1997年には、US$600millionであり、7.5%を占めるに過ぎなかった。

- UUNETとしては、インターネット事業の成長は、IP電話などによって既存の電話
事業を肩代わりすることではなく、より高度のアプリケーションによってもたら
されると考えている。

- 現在、Worldcomでは、電話事業、インターネット事業の双方をにらみながら事業
展開を検討している。しかしながら、この状況は数年のうちに激変し、インターネットと関連するデータ通信市場の成長にこそ戦略の重点を置くようになるだろう。

- UUNETのバックボーンの容量は、年間10倍のペース。3.6ヶ月ごとに倍増している
計算になる。この年間1000%の成長は過去3年間続いている。ムーアの法則
としてその急成長が喧伝されているPC産業をはるかに凌駕する。PC産業のは、
せいぜい18ヶ月で倍増するというペースだ。

-インターネットの成長率が年間1000%。音声通信の成長率が年間8%という
現在の成長率が継続すれば、2000年までには、世界中のすべての帯域幅のうち、
50%がインターネットのためにあるという状況になる。現時点では、10%
に過ぎないが。

- この成長率が2003年まで継続すると仮定すると、90%の帯域幅がインターネット
で、その他が10%となる。

- ファクシミリ通信は、現在、音声通信とカウントされているトラヒックの
半分以上を占めている。この事実から、既存の国際通信事業者のコア・ビジネス
は、インターネットによって大きく侵食されることになる。

○通信産業において進行する大きな構造変化

その1:規制緩和が進行しており、通信産業100年の歴史にしてはじめて、本格的
参入が可能となる。WTOにより、発展途上国への参入可能性も開かれた。

その2:インターネットがコスト構造を根本的に覆し、ネットワーク構築に関する
人々の考え方が大きく変わった。

われわれのビジョンは、シリコン・バレーのPC関連創業会社のような通信会社を
つくることなのである。

○インターネット電話の可能性

- セルラー電話は、使いやすさと音声品質が相殺してもよしとする市場があること
を証明している。

- 子女が大学に入学して電話をかける必要の出てきたら、親御さんは90%のコスト減
が得られるのであれば、音声品質が低くてもいたしかたないと考えている。

○成長のドライバー

- 成長の最大のドライバーは、より伝統的なデータ通信である。ひとつの分野は、
コンピュータ間通信であり、これが、バンド幅を大幅に向上させている。

- ウェブ上での情報探索をコンピュータが代行して実施するような仕組みのニーズ
は高くなる。

○既存通信会社のインターネットへの取り組みに関する評価

- インターネット分野について、米国の長距離通信会社は他の企業よりもよくやって
いると思う。

- 今後は、電話会社とISPが結合したものが、モデルとなる。WorldcomがUUNetを
買収したが、それは、このモデルである。BBN/GTEもうまくいくだろう。Sprint、
MCIもこれまでは成功していると考えてよい。

- それにしても、電話会社によるインターネットへの取り組みが遅かったことに
は、多くの人が驚いている。既存事業を有する大企業がゼロから新市場に
参入する際に、新事業はコア・ビジネスと比較して売り上げが小さい。それ
ゆえに適切なリソースを投入しない。ここに問題があると思われる。

- ISPの成長が速かったのはそのせいである。ISPは、インターネット以外
にフォーカスするべきものがない。ISPは集中せざるを得ない。しかし、
この産業には、まだ、十分に余地があり、長距離通信会社が成功すると
考える。

98.04.25 中川一郎





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