97-38 B-Week AOLにとってのCompuserve案件の意味合い

標記につき、業界動向に関する何らかのご参考となればと想い、送信させていただきます。

コンテント事業者としての色彩をAOLが鮮明にし、IPネットワーク部分をアンバンドルし、むしろアウトソースする形で、フォーカスを鮮明にしようとしている点が印象的であります。

この事例が示していることの意味ですけれども、オンラインビジネス業界で起こっているのは・・・

  1. ネットワークとコンテント・プラットフォームをバンドルすることで「範囲の経済」が追求されていたけれども・・・
  2. より得意な領域に特化(フォーカス)することの方が有利となりつつある
  3. その原因を考えると「マネジメント」の質のようなものであり、異なる成功要因が必要とされる複数の事業をひとつのマネジメントが管理しようとすることが困難。
  4. 得意なことに経営体は特化し、あとは、アウトソースする、連携する。そのような方向にネット関係業界は移行しつつある。アウトソース業からの調達にかかるコスト、リスクが当該機能を内製するよりも小さくなった。AOLの場合は、広告と取り引き手数料で成立するメディア事業にこそ自らの強みがあると鮮明に感じ、そこに特化することにした。
  5. 一方、TCP/IPネットワークが生業として成り立つクリティカル・マスの敷居が高くなり、現段階の競争市場ではANS Coreの規模では、単独事業として成立するのが困難なのであった。
  6. 「範囲の経済」から、「特化」「アウトソース」「リンク」へと、変化が起きているのかもしれない。

等々かもしれないと考えた次第であります。

記事の全文は、以下のURLでご覧いただけます。

http://www.businessweek.com/1997/38/b3545066.htm

また、「今回のディールを通じてAOLが何を享受するか」というまとめを
試訳してみました。原文と併記しております。

<ここから>

Sharper Focus

より鮮明なフォーカス

ANS CommunicationsのネットワークビジネスをWorldCom社に譲渡することにより、AOLはより純粋なメディア会社に近くなり、広告と電子商取引収入によって支援されるオンライン・コンテントを提供することとなるのである。

More Subscribers

より多くの会員

ANSの見返りとして、WorldCom社はCompuserveのオンラインサービスをAOLに譲渡する。コンピュサーブの会員数は、260万人であり、これによってAOLの会員数は1160万人となり、マス市場の域に達する。

International Reach

国際的なビジネスの広がり

AOLは、ヨーロッパの70万人の既存の会員に加え、新たにコンピュサーブの85万
の会員が加わる。これに加え、AOLはほかの国の会員を30万人加えることになる。

Cash

資金繰り

WorldCom社は、AOLに対し、ANSに相当するものとして1億7千500万ドルのキャッシュをこの取引の一部として支払うこととなる。また、Bertelsmann(不明 _o_)は、コンピュサーブのヨーロッパ事業の半分に対して、7千500万ドルをキャッシュで支払うこととなっている。

Regulators' Attention

規制当局の関心

これらの活動は、司法省の関心を惹いてしまうこととなるだろう。すでに、第1位の
オンライン会社であるAOLの全米第3位のコンピュサーブに入札する検討に関して、
調査を開始した。

<ここまで>

970917 by 中川一郎





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