Linuxはいかにしてビジネスになったか コミュニティ・アライアンス戦略


【書肆情報】

ネット・コミュニティ。能動的にメディア等々を動員して働きかける企業対客体としての消費者/ユーザという、マス生産・マスマーケティングな在り方を覆えす。そのようなインパクトを敏感で自らネットコミュニティに参加した、あるいは仕事の一貫として従事した企業人たちには感じられていた。が、しかし、ビジネス・ジャーナリズム等においては、ある企業のある事業部のある製品に関連した事象というような扱われ方をされてきて、多くの既存企業の意志決定者たちのアジェンダにはのっていなかったのではないだろうか。

それは、個別プロダクトの戦術というレベルでしか扱われず、コーポレート・レベル、社全体の意志決定を司る、これまたとてもではないが時間がなくてわが身を以て、ネット・コミュニティのインテリジェンスを実感する暇のない多くの既存企業のトップたちにはピンとは来なかった。業界全体の在り方をはっきりと変えてしまうインパクトは、「うちも扱いかねているのだから、よそも」という捉えられ方しかなされず、戦略事項とはゆめゆめ思われて来なかったのかもしれない。

本書は、このような状況にある既存企業にとって、重要な、戦略レベルの意志決定事項として、ネット・コミュニティとその企業がどのような関係にあるべきかということを「コミュニティ・アライアンス戦略」として明快に提示する。敏感な企業の意志決定者たちは、本書で提示されている戦略を早々に理解し、さっそく、「コミュニティ・アライアンス」に動くだろう。鈍感な意志決定者たちも「競合のあの動きに乗り遅れてはならない」ということで、キャッチアップに動くはずだ。本書の実践的意味合いは極めて大きい。

001001 中川一郎

ポイント:というかかなり強引な要約ですが・・ _o_

  1. LinuxコミュニティとRed Hat、VA Linux等のIPOまで達成したLinuxディストリビュータ企業のあり方は、今後のネット・コミュニティと(「国民通貨圏」の)企業との新たなビジネス上の関係のあり方、新たなビジネス・モデルを示すもの。
  2. それは、「コミュニティ・アライアンス戦略」と筆者(佐々木+北山)が呼ぶもの。ネット上のMLや  http://www.egroups.co.jp のような仕組みを活用したネット・コミュニティは國領の指摘した「顧客間インタラクション」を誘発し、蓄積している。ダイナミックな「顧客間インタラクション」がもたらすのは、情報の「編集価値」。
  3. ここまで、COIなどとして語られながら、ネット・コミュニティの「編集価値」が「経済価値」(「国民通貨」界)に転換される仕組みは、欠落しているか歪んでいる。現存の「広告モデル」は、「情報を発する人に報いるために、モノが買われなければならない」(松山大河)という矛盾した歪んだ存在。「編集価値」が報いられるにはロスが多すぎる。
  4. Linuxコミュニティと実ビジネス界の仲介的なディストリビュータであるRed HatやVA Linuxは「編集価値」を「経済価値」に転換するためのバリュー・コンパイラー的な存在。彼らの戦略モデルが、「コミュニティ・アライアンス」と呼べる。
  5. このモデルは、OSに限定されるだけでなく、バックテクノロジーズ社(御手洗大祐社長)     http://www.waag.net などの先駆的な事例に見られるように、他のプロダクトやサービスにもネット・コミュニティと諸企業を結ぶうえでのビジネス・モデルとして適用可能。さまざまな業界のさまざまな企業は、続々とネット・コミュニティ上で創出される「編集価値」を「経済価値」に転換し、取り組むことが必要。
  6. 既存企業の取り組み方として、ネット・コミュニティを自社主導ではじめようとする土台無理な話を実現しようとして現場の人たちを苦しめるのは得策ではない。ネット・コミュニティの独立性を尊重しつつ、聞き上手」となって、連携を図ることが必要。

中川的には、「おいおい、ここまで来て、最後は「聞き上手」になれ・・という精神訓話だけ・・それはないぞ(TT)という読後の不満もなくはなかったのですが・・。 この6のポイントは、もっと事例や事例に基づく洞察を交えてより、具体的に語って欲しかったところでありますが、ややイメージ的という感をもちました。しかし、翻って考えるならば、ここまで示されたら、洞察力あふれる企業なら、ぴんと来て動くはずでもあり、ああそういう勝負なんだなと感じた次第です。

今後のバックテクノロジーズ社の展開をフォローするなり、著者たちの次なるフィールドワークなどが展開されることをフォローするなりすべき段階なのだろう・・と理解しております。

## 以下は、抜書きでございます。


「リナックス・コミュニティへの支援」

p48
レッドハット社やVAリナックス社にとってリナックス・コミュニティからの支持はまさに生命線。
金銭面からの支援を実施。

p49
レッドハット社やVA Linux社がLinux Carnell開発者の中心人物であるアラン・コックスやデーブ・ミラーなどに給与を提供していることが挙げられるが、このことは単に有能な人材を自社の開発者として雇用しているのではなく、リナックスやオープンソースソフトウェアの開発を進めるための寄付的な要素も持っている。

RHやVLなどのリナックス企業の多くは、ガレージカンパニーであったころから草の根レベルでリナックスを普及させる役割を果たしてきており、コミュニティからの信頼は厚い。

p52
「コミュニティにとっての営利企業の役割」

いわばディストリビュータは、大企業とリナックス・コミュニティとのインタフェースとなっていたのである。

p54

コミュニティを中心として、その周りに経済圏を形成するという新しいビジネスモデルの実現。

コミュニティ・アライアンス戦略

p95

リナックス成功の要因は普及モデルにもある

リナックスの普及に拍車をかけたのは、リナックスがリーナスを
中心としたコミュニティにおける開発というスタンスを維持しな
がら、コミュニティの周辺に誕生した市場においてはディストリ
ビュータ(Red Hat、VA Linux)が地位を確立していくといっ
た、コミュニティビジネスが自立しながらも相互に依存しあうと
いう関係を構築できたことにある。

p96

コミュニティと営利企業のアライアンス

(リナックス・コミュニティは)シェア拡大に大きな役割を果た
すリナックス企業のビジネスには非常に寛容に接しつつも、その
枠外に自らを位置付けている。ソフトウェア開発において発揮し
ている絶妙なバランス感覚を、彼(リーナス・トーバルズ)この
「コミュニティ・アライアンス」の場面でも充分に発揮しリナッ
クス企業に接しているのである。


p98

リナックス・ビジネスがわれわれに教えてくれること

レッドハットやVAリナックスといったリナックス企業は、情報
が自由にコピーできる性質を認め、その特性を活かしながらもビ
ジネスを展開しようとしている。情報の性質を生かすことで生ま
れるコミュニティの成果を、ビジネスとして広く社会に普及させ
る役割を企業が果たしているといえよう。

リナックスというソフトウェアは、ネットワーク・コミュニティ
の力の象徴なのだ。かくしてリナックスとそれにまつわるビジネ
スは、われわれにソフトウェアだけにとどまらず、コピーしても
その価値を失うことのないデジタル情報財を基礎としたビジネス
のあり方についてのヒントを提供していると考えることができる
だろう。

p107

「情報の価値」とは「編集」にある

「編集価値」の最大の特徴は、その価値がダイナミックに決定さ
れる点である。情報が価値を持つのは、提供された情報に対して
情報を受け取った人が別の情報と関連づけることによって、うま
く解釈を与えられたときである、ということだ。

p108

企業にとって重要な編集価値の活用

今井・金子「ネットワーク組織論」総括:企業が「動的不確実性」
に対処していくために重視すべきは編集価値であるともいえるの
だ。

p135

シェアウェアは合理的な事業だ

プログラムのコーディングという役割以上に,コミュニティによ
って発信される情報から、編集価値を紡ぎだす役割を果たす。こ
れがシェアウェア作者のもっとも注力する作業である。ソフトウ
ェアの開発というものが、巨大で高額な設備を必要とせず、知識
や知恵といったいわゆる情報に大きく依存して行なわれるものだ
という事実を鑑みれば、ユーザからネットワーク・コミュニティ
に対して自発的に発信される情報から編集価値を紡ぎ出すことに
対して労を惜しまないシェアウェア作者たちは、情報という財の
特性を十二分に活かす、合理性をもち合わせた企業家といえる。
さらに現実に国民通貨による取引がそこでは展開され、経済的な
収益が生まれているのだから、「一見」気まぐれと見えたその事業
構造は、にわかに理屈以上の合理性を帯びてくる。

言い切ってしまおう。シェアウェアとは、ネットワーク・コミュ
ニティにおいて生み出された編集価値を巧みに経済価値へと変換
している、極めて合理的な事業なのである。


p140

情報に対する収益モデルと広告モデルの矛盾

エスター・ダイソン「インターネット上の情報の圧倒的多数は無
料になっていく」

? デジタル化・ネットワーク化が進むことによって、情報の制作
や配給が安価に行なえるようになり、コピーの供給量が増大す
る。
? コピーの供給量が増大するにも関わらず、人々がコピーを使用
できる時間は限定されるため、需要は固定的である
? よってデジタル化されたネットワーク上の情報の価格は下落
していく

p141

情報の価値を収益に結びつけるダイソン・モデル

(1) 定期購読
(2) パフォーマンス
(3) 知的サービス
(4) 電子知的サービス
(5) メンバーシップ・サービス
(6) オフライン会議
(7) 製品サポート
(8) 派生商品
(9) 広告
(10) スポンサーシップ
(11) 複製販売

p143

情報収益化ファイブモデル(佐藤、北山)

A) 情報希少性モデル<情報の希少性が薄れるという理論に対抗
する>ダイソンモデルの(11)複製販売。
B) 情報周縁希少性モデル<希少性が薄れる情報自身に対価を要
求することをあきらめる>ダイソンの分類の(1)定期購読、(4)
電子知的サービス、(5)メンバーシップ・サービス
C) 直接メディアモデル<伝達すべき情報を運ぶメディアの希少
性に対価を求める>ダイソンの分類では、(2) パフォーマンス、
(3) 知的サービス、(6) オフライン会議、(7) 製品サポート、
(8) 派生商品が該当する。
D) 間接メディアモデル<素の情報と関連する情報を運ぶメディ
アの希少性に対価を求める>(9)広告が該当。
E) 編集価値モデル<情報からダイナミックに生まれる価値に対
価を求める>(10)スポンサーシップ

p148

現在の主流は「広告」モデル

國領二郎はモデルDの広告モデルが主流となってきている理由を、
情報のコスト構造がほとんど固定費のみで変動費が極めて低いに
もかかわらず、課金のコストが相対的に高いから、と分析してい
る。

翻って、流通した情報に対していかに課金するかという点におい
て、情報を利用するたびに少額の支払いを行なう「マイクロペイ
メント」と呼ばれる方法には技術的困難が伴う。たとえば、これ
まで利用してきたクレジットカード会社の仕組みを使うとすれば、
事業者にとって情報一単位あたりの課金コストが100円近くか
かるという。もちろん情報を数単位分まとめて集金するという方
策も考えられるが、数単位分たまるまでの期間が仮に長くなると
すれば、キャッシュフローの面からは不利となる。そもそも流通
コストが距離に比例しないということは、一般的に商圏の拡大を
意味するわけで、極論すれば世界中の多くの人々から少額の料金
を徴収するという方式が有力と考えられるのであるが、その少額
な料金を集めるためのシステムがほとんどないのである。

それゆえ、情報提供を行なっている事業者の多くがモデルDの広
告モデルを採用しているというわけだ。

p148

「広告」モデルの矛盾

p150

松山大河氏コメント
「なにかモノを買うことしか、無形のサービスを提供しているヒ
トに対して報酬を支払う方法がないのだ」

p152

モノを買うことでしか素情報の発信者には報酬が行き渡らないと
いう・・本質的な矛盾

編集価値モデルの限界

p153

発信者に対してより直接的に、情報にとってふさわしい報酬を支
払う仕組みを確立するという作業は、情報ネットワーク経済社会
において、資源を有効配分するためには極めて意義深い。

編集価値モデルは情報の「価格」や希少性という要素ではなく、
情報の「価値」、すなわち編集価値に対して報酬を支払うものであ
り、情報の価値を可能なかぎり正確に評価しようという方針と、
その報酬をより直接的に情報の発信者に対して還元しようという
方針を包含している。

p154

「編集価値+直接メディア」の複合収益モデル

この複合モデルは、編集価値を生み出すネットワーク・コミュニ
ティとのアライアンスを実践するための収益モデル。一定の汎用
性を持つ、というのが筆者の主張。

p156

WAAGテクノロジーズ社の挑戦

WAAG(バック):オランダの交易所

p157

御手洗社長談
「かつて生鮮品市場の計量を行なったWAAGと呼ばれる施設が
オランダのアムステルダムにあり、それがメーカーや製品や人を
評価するという自分たちのビジネスの具体的な姿に近いというこ
と、WAAGのある地区がアムステルダムの中で非常に活発なコミ
ュニティセントラルの機能を果たしているというところから、
WAAGを社名に入れました。」

http://www.waag.net/

製品の定量的・定性的レビューを集約するサイト。レビューに対
する評価もなされるようになっている。扱う製品は、創業者たち
が得意とするPC、携帯、音響製品関係。

p160

「WAAGが提供していきたいと思っているのは、自分で信頼性の
ある情報を探していきたいというスタンスの人たちです。」

「多くの人が高い評価を与えている製品」という切り口だけでな
く、「多くの人が評価する信頼すべき人が高い評価を与えている
製品」という見方も可能。

p161

WAAGの戦略は、コミュニティをつくることではない。

p162

御手洗社長談
「苦手というか、自分が興味を持てない製品にまでWAAG自身と
しては評価の対象を広げないつもりです。ネットの世界では、本
当に好きでボランタリーにどんどん情報が発信されているネット
ワーク・コミュニティがそのことについて一番信用できる存在だ
と思うからです。」

p163

編集価値を生む手助けをWAAGがしている。

p164

WAAGの価値;会員がダイナミックに生み出した個別の編集価値
をそのまま、ないしはうまくとりまとめることで経済価値へと変
換する機能。

会員同士の中古品取引市場;手数料

評価の高い製品を会員が共同で購買できるようにするサービス;
手数料

製品コミュニティがリアルの世界で主催する製品評価のイベント
支援

p165

「理念としては、販売店を購買代理化したいという気持ちはあり
ます。つまり販売店に、メーカーの代理では生活者の購買の代理
になってもらいたい。」

これまでの広告モデルは、企業が組織のなかに持っている情報を
企業の論理で編集し、その編集価値を広告代理店の力を借りなが
らマスメディア広告という表現形態で固定化することによって、
モノやサービスを販売し、経済価値へと転換してきた。

ところが企業による編集価値の素となる情報は、生の情報、ある
いは現場の情報、少なくとも顧客の切実な情報ではないため、編
集価値が絶対的に低い。

ビジョン=コミュニケーションを円滑に動かす

p166

「ネットワーク・コミュニティに必要なのはコミュニケーション
の量と質であり、人の量と質であり、さらに技術の問題だと思っ
た。コミュニケーションや参加者の質を高めるにはやはり評価の
仕組みが必要だと思いました。」


p167
「とにかく経済的な収益を産めるようになるためには、質を保ち
ながらこつこつとレビューを蓄積することが重要」


知性を持つネットワーク・コミュニティ

p186

ネットワークの進展によってもたらされる、より本質的な変化は、
個人が、企業に対してよりも、他の個人に対して、あるいは興味
関心が近く価値観まで共有できる仲間の集うネットワーク・コミ
ュニティに対して、コミュニケーション行動をとることができる
ようになったことだ。

特定のテーマを持ったネットワーク上の電子会議室やメーリング
リストの存在は、個人がコミュニケーションをとるべきふさわし
い相手を探すコストを劇的に低下させ、一度に多数に情報が届く
という同報性の特長もあり、ネットワーク・コミュニティ内にコミ
ュニケーションの絆をあまた作り出している。そしてコミュニケ
ーションの相手を探すコスト低下の恩恵を受ける形で、個人は自
分と興味関心が近い相手とのインタラクションそのものに労力を
かけるようになってきている。國領二郎はこの現象を「顧客間イ
ンタラクション」と呼んだ。

このように興味関心の近い者が集うネットワーク・コミュニティ
内でインタラクションが起こることによって、編集価値が生まれ
る。

p188

伊藤穣一:メンバーが興味関心や価値観を同じくすることによっ
てネットワーク・コミュニティから編集価値がダイナミックに生
まれてくる状態を、「コネクティビティ・インテリジェンス」と呼
ぶ。

ネットワーク・コミュニティは知性を持ち始めている。

企業に求められるバリュー・コンパイリング

企業には、知性を持ち始めたネットワーク・コミュニティと協業す
るための戦略が必要。

p189

他方ではコミュニティ・アライアンスを戦略として有効に機能さ
せようと考えれば考えるほど、ネットワーク・コミュニティとのア
ライアンスがうまくいかなくなるというケースが、大企業を中心
に非常に多くなっている。現場担当者の悩みは深い。


トレードオフの関係にある編集価値と経済価値

ネットワーク・コミュニティから生まれる価値は情報に基づく編
集価値であり、経済価値ではない。

p191

大組織の上位に位置した意思決定者が、現場の感覚なしに、企業
としてのメリット、すなわち経済価値の最大化を目指す意思決定
をすればするほど、現場におけるネットワーク・コミュニティとの
関係はうまくいかなくなる。つまり編集価値が生まれなくなるの
である。

大組織の上位に位置する意思決定者は、ネットワーク・コミュニテ
ィが企業の行なう広告活動の何億円分に相当する口コミ活動を行
なったとか、東芝事件の教訓からリスクをヘッジする意味でもネ
ットワーク・コミュニティとうまくつきあうべきだという類の情
報には敏感。

こういった情報中に語られている価値の中身が、ネットワークコ
ミュニティがダイナミックに産出する編集価値ではなく事後的に
計量された静態的な経済価値であるということにまで理解が及ん
でいない。

バリュー・コンパイリングモデル

p199

「企業がどのような行動をとれば、コミュニティ・アライアンス
が戦略として有効に機能するのか」

「企業は直接的にネットワーク・コミュニティに干渉せず、バリュ
ー・コンパイリングという役割に注力すべきである」

「バリュー・コンパイリング」とは編集価値をコンパイルすること、
具体的には、最大化されたネットワーク・コミュニティの編集価値
をより確実に経済価値へと変換するということである。

p200

コンパイルする;多用なコンテクストを内包する編集価値を、計
量が容易な一元的尺度を持つ経済価値へと変換する。

経済価値によるインセンティブをネットワーク・コミュニティに
与えても、必ずしも編集価値が高まることはない。

ネットワークコミュニティから生まれた編集価値を経済価値へと
変換する作業に対して都度の対価をもらうという点で異なってい
る。

編集価値を最大化することに注力するネットワーク・コミュニテ
ィ側のリーダーと、編集価値を経済価値へと変換するバリュー・
コンパイラーとしての企業とが、別個の存在であるという点であ
る。

p202

企業がネットワーク・コミュニティに対して「聞き上手」な存在と
ならなくてはバリュー・コンパイリングモデルは機能しない。

? 当該企業に所属しないリーダーをネットワーク・コミュニティ
側に置き、ネットワーク・コミュニティの独立性を尊重する。

? 対等なアライアンスの対象として、謙虚かつ真摯な態度で編集
価値を生み出すネットワーク・コミュニティに接し、ネットワ
ーク・コミュニティの意見に対して聞く耳を持つ

ネットワークコミュニティとかかわる三つの戦略モデル

独立戦略:
コミュニティ・ビジネス戦略:固定費負担の小さい企業にのみ採
用の余地がある戦略。
コミュニティ・アライアンス戦略:「編集価値+直接メディア」

00.10.01 Revised 00.10.10 中川一郎 mailto:nakagawa@aa.uno.ne.jp



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