瞬間、その瞬間。
何の前ぶれもなく、いきなり耳元で囁かれた。
そんなこと、ええ?そんなこと。(それは、動揺するのだけれども)
その瞬間。それはせつない。
瞬間、その瞬間。
生まれてくる前の自分が、いきなり目の前に立っている
これまで見てきて疑いもしなかった全てのものの形が溶けていく
瞬間、その瞬間。
姿のない影だけがうごめく
姿のない声だけがざわめく
「この夢の続きを見てはいけない!」
「この夢の終りを見てはいけない!」
暗闇に空いた隙間からかいま見た見果てぬ夢の涯
その瞬間。それはせつない。
瞬間、その瞬間。