アメリカと靴2003.11




アメリカ・ワシントンDCに行ってやや靴を見てきたので、それについて書いてみようと思う。

アメリカ人と靴
欧米における靴に対する思い入れは、日本はずいぶん違う。年季の入り方が違う。ファッションにおいて、また生活において靴は日本よりもずっと重要視されている。ただ、ファッション全体もそうだが、イメージとしてアメリカは合理性と快適性、イギリスは正統性、イタリアは美しさを信条としているので、アメリカではここで話題にするような高級革靴はあまり一般的ではない。中流アメリカ白人に、4万5万の靴というと、ずいぶん高いと驚くのが一般的である。まぁ、中流階級で数万の靴をみんな普通に持ってる国なんて無いか。中流階級でも200〜300万の車を普通に持ってる国はいくつもあるけど。
僕の考えるアメリカの有名靴メーカーというと、Alden、AllenEdmonds、Johnston&MurphyそれからColeHaan、Florsheim、BASSあたりが挙がる。前述のアメリカ人に聞いたところ、Johnston&MurphyとColeHaanとBASSあたりまでは知っているとのことだった。また逆にeccoとSauconyというのを薦められた。この2者は、詳細は不明ながら日本だとアキレスと関係があるようで、アキレスのHPのリンクに出てた。尚、Sperryもそこに出てたが、これも関連会社なのか?いずれも一般的な価格は1万円程度までで、やはり3万円程度から上は一般的ではないということか。
実際アメリカ人の履いている靴を観察したところ、スーツには黒の革のヒモ靴が一般的であった。ソールまで革の本格っぽいのも多い。ただもちろん、日本のオヤジに愛用されている”金の飾りのついた黒のスリッポン(ヒモ無し靴)”も中にはいるが、日本よりもずっと少ない。やはり若い人は、黒でもゴム底のモード系、特に流行りの丸っこいスクエアトゥ、素材は革よりも人工素材中心のものを履いている人も多い。若い人については、日本と大差ない印象を受けた。だがさすがに日本みたく、スーツに完全なカジュアル靴、特に白いスニーカーを履いてデイパック背負ってるようなヤツはほとんどいなかった。


靴屋実際
ホテルはDupont Circle付近。小さなショップは徒歩圏内かメトロ1駅だし、治安・雰囲気もよく便利でここはお勧め。
まずはメーカー直営店系。

Alden(1725 K St. NW, TEL:(202)452-0710)
redline・Farragut North駅からK St.北側を西方向にちょっと行ったところ。上品だが気さくなベテラン店員が一人でやってるこぢんまりとした店。当然Aldenしか置いてないが、在庫は青山のラコタハウスよりずっと多い、という事はなさそう。同程度か?ドレスシューズもカジュアルも、ラバーソールもある。コードバンのドレスシューズで$500前後(日本では8万円台)。

Highcliffe CLOTHIERS LTD.=Allen Edmonds(1120 20th St. NW)
Dupont Circleから20th St.を南下した西側。やや見つけにくかった。服中心のセレクトショップといった感じ。靴はAllen Edmonds中心だが「J.M.Westonも良いよ」とか言ってた。若干はあるのかもしれない。全体として在庫はそれほどないが、店主のMark氏はフレンドリーで、置いてないモデルもすぐ電話して聞いてくれるし、「(平日なら)2〜3日でホテルまで届ける」とも言ってくれた。値段は$200〜300くらいと、うまくいけば日本の半値か(といっても日本ではトレーディングポストくらいでしか見たことない)。

Johnston&Murphy(1742 L St. NW)
上記のやや南、L St.の南側。わりとわかりやすく広いし、展示も豊富。店員は2人いたが、アメリカ的対応。というのは、やはりサイズラインナップは日本人には大きくて、僕が26cm/AmericaSize8というのはまともな在庫がやや期待できる最小。で8を出してもらって履くと、だいたい良いのだが、かかとのあたりだけが緩い。それを指摘すると「これがいちばん小さい」と言い放って終わり、という具合。でもまぁ、これはアメリカとしては普通かもしれない。
値段は$150〜300くらい、モデルによりかなり差がある。カジュアルモデルも多い。日本とあまり変わらないか、1万円程度は安いか。

Church's(1820 L St. NW)
上記の並び。アメリカ靴ではないが、チャーチはわりとメジャーのようだ。日本でも、数年前まではデパートでも置いているくらいメジャーだったらしいが、経営方針の変更だか知らないが今ではバーニーズニューヨークとビームスくらいでしか見ない(伊勢丹にあったっけ?)。
ここもなんかプライドの高そうなじいさんが一人でやってて、高級そうな店内。在庫は一見豊富、だが僕のサイズ(65。その時チャーチの茶のConsulを履いていた)と同じのを、と言うと2モデルくらいしか無いと言われた。そのうち一つはやはりConsul(茶と黒)であった。(今履いてるのと)同じでしょ?と言うと、そうだよ(で何か?)、でおしまい。値段は$400くらいと、日本より1万円ちょっと安い。確かに、一部(不人気モデルと思われる)はSALEで$175とかで売ってるが、僕のサイズは1足くらいしかなかった。それも型押し革の安っぽい雰囲気のものだったのでパス。SALEのが合えばラッキーだが、そうでなければ、思ったほどは安くない。

次はデパート等。

Nordstrom(Pentagon City)
靴に力入れてる高級衣料品デパート。店舗はいくつかあるようで、オーランドのフロリダ・モールというショッピングモールにもあった。しかしここyellow/bluelineのPentagon City駅目の前、Fashion Centerとくっついてるところが一番大きそう。靴の在庫はさすがに多いが、注目すべきはAllen Edmondsくらいか?。でもまぁろいろ、Pradaなんかもある。値段は前述と同じ、デパートなので定価販売。MephistoというブランドはAllenEdmondsより高く$400くらいするが、一見カジュアルで、高級感はあまりない。アメリカ人の好む、クッションとか機能的ハイテクな仕掛けがあるのかもしれない。
店員はデパートというよりも靴屋のそれで、足サイズ測定器もあるし、サイズもモデルも次々出してきて履かしてくれる為、安心して選べる。僕はここでAllenEdmondsのDressCasualなStockBridge/Chili Soft Calfを購入。ゴム底のソフト革のUチップだが、赤がかった茶色がきれいで、ウェルト式にラバーソールを貼ったそれはそう安っぽくない。$275。

Filene's Basement
ワシントンに3店舗あるうち本店らしいのは、前述のFarragut NorthからConnecticut Ave.をややDupont Circleに向かった右側。地上2階地下1階の小型アウトレットデパート。雑然としているがドンキのように下品でなく、小さいが品はわりと多い。日本だと8万くらいするHartmanのベルティングレザー鞄が$300くらいで置いてあったりもするが、アウトレットなので在庫はその1種類のみだったり。
紳士靴は2階、箱入りのまま積まれているのを自分で勝手に履いてみる。そういう雰囲気ゆえあまり高級靴はなく、Sperry Top-siderのデッキシューズは$50前後とプレミアム・アウトレットと同じくらい安い。他はBASSだかFlosheimだか、そんな感じだったような。一応ドレスシューズもあるが、それほど高級品ではなく、高くても$100台だったと思う。服はチェックしてない。

Premium Outlet
日本では御殿場にあるやつが、実はアメリカではチェーン展開している。今回はオーランドと、ワシントンDC近郊(車で1時間くらい)リースバーグの店舗に行った。
規模は、リースバーグの方が広いか。靴としては、メーカー単体ではいずれもColeHaanとBASSが入っている。在庫はいずれも多いが、いずれもちょうど欲しいような靴はなく、特にBASSは数千円の靴中心で、あまり対象にならない。あとはアウトレット靴屋。まず前者、オーランドではSperryを扱う店があり、Top-siderのバックスキン(ヌバック?)茶のデッキシューズを購入。だいたい5000円くらいだった。日本では、正規に売ってるのは渋谷のGolden Charくらい?値段はよくわかんないけど、8000〜12000円くらいか。
あとはそれほど魅力的な靴はなかった。服では、いずれもBurberryが入ってて、レディースのトレンチコートが約5万(日本では倍)。Ralph Laurenもあり、半値〜2/3くらいか。Brooks Brothersもあったが入らなかった。


雑感
日本は靴が高いというのは本当だ。ただし、これは外国製の高級靴の場合。僕は靴歴が浅いもので、これまで海外で靴を探した経験はハワイ、グァム、シンガポールでしか無かったが、いずれもあまり成果は挙がらなかった。シンガポールでは高級靴なんてマイナーだし(高島屋でAllen Edmondsがあっただけだが、店員はちゃんとフィッティングしてくれないので、サイズが違うのを買ってきてしまい、靴擦れで出血した。おそらくこの国は、靴については買い物に向かない)、ハワイもグァムも革靴を履いたり買ったりするような雰囲気の土地ではない。その点アメリカは、フロリダのオーランドでもショッピングセンターがたくさんあるせいで、そしてそういう所だとJohnston&Murphyはよくあったりするから、靴を買う事はできる。

ワシントンDCは、おそらくニューヨークの次くらいには、そこそこの靴屋が揃っているのではないだろうか。ショッピングセンター、アウトレットもそこそこある。わりに治安が良いので、安心して買い物できるのも良い。

買い方としては、自分である程度欲しいデザインを考えておいてから買いに行った方がいいだろう。これはどこでも、何を買う時でもそうかもしれない。値段は、どうせ日本よりは確実に安いのだからあまり気にしない方がいいかもしれない。相当時間に余裕がない限り、あったその場で買う。旅行における買い物では、別の店に行ってまた戻るなどの行為は、旅行において一番大事な時間の無駄になる。そして、靴を選ぶとなるとかなり自分の世界に入るし、服よりもサイズ選びに時間もかかる。安全面で問題なければ、できれば周りを気にせずフットワークの軽い単独行動が望ましい。

いくつか気になったのは、アメリカ含め欧米人と日本人は足の形とサイズが違うということ。サイズ違いは絶対的で、特にアウトレットでは26cmより下のサイズは少ない。28〜30cmくらいなら在庫も豊富。そしてたとえサイズが合っても、形(木型)が合わなければ諦めた方がいい。僕が感じたのは、アメリカの靴は踵が大きい。長さ合っても、踵まわりが緩くて、いくつも諦めた。あと僕は特に足幅が狭いので、どれも幅広に感じた。

今回はいわゆるサドルシューズを探した。スエードのうす茶色のが多い。しかしこれは日本ではほとんど見かけない。おそらくこの大味なデザインは、アメリカでしか売れないのだろう。アメリカではやや伝統的なスタイルなのかもしれない。そして僕はこの、カジュアルでありながらどこか上品さの漂う美しいヘタレ方に憧れた。アメリカでは、カタログにも載ってるし実際に店でもよく見かけた。Johnston&Murphyとその他のメーカーのを発見したが、いずれも形が合わず、踵がゆるくて諦めた。AllenEdmondsは生産中止であった。結局買えず。

といっても、実際にサドルシューズを履いている人は全然見なかった。むしろ多いのはデッキシューズ。Tシャツ・短パンという完全カジュアルから、ジャケットスタイルにまで合わせてしまう。色は茶。各社が似たようなデザインのを出してるが、やはりSperry Top-siderが老舗の気がする。今回はわりと安く買ってこれた。インターネット通販でもよく見るし、いろんなメーカーが出してるから、これは日本でも入手が容易だろう。ただ、やはり僕にいちばん合うサイズでさえ、長さがやや足りず、幅は広く感じる。似たようなデザインで、SantoniとBeamsのWネームのを持ってるが、こちらの方がずっとしっくりくる。嘘くさいとは思いつつも、「日本人向けの木型を使用」「日本人に合う形で別注」みたいな方が、日本人には合いやすいかもしれない。

アメリカで靴を買ってくる場合、一番得なのは、Aldenの数モデルに絞って買いに行き2〜3足買ってくることだろう。これだけで、エコノミーの往復料金くらいは軽く元が取れる。言葉の壁も、それほど問題にならない。僕の英語はあまり通じなかったが、靴を買うのにはそれほど困らなかった。あとは、自分にぴったり合うサイズと形の靴を探し見つけることである。自分にぴったりの靴というのは本当に貴重である。逆に、ほんの2〜3万多く払って日本で買ってでも、そういう靴にめぐりあいたい。


リンク:通販サイト

SHOEBUY.COM:インターネット靴屋

Nordostrom shoes

Johnston&Murphy

Allen Edmonds





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