ボールペンについて






なぜボールペンか
モノにこだわる人と、そうでない人がいる。僕はわりと凝るほうで、ちょっと前は時計に夢中になってやや散財したけど、時計はずいぶんお金がかかることがわかり一休み。次に社会人だからと紳士服/鞄にやや凝ったが、これも、普段からスーツ着る仕事でもないし、なるほどそうですか、じゃお金があって次に必要になったら買おう、ということで一段落。で、次は何?と思ったら、毎日使ってるわりにはタダでもらったやつばかり使っている筆記具になった。筆記具の王道は当然万年筆。確かに僕も一時はパーカーのソネットの太めので書いてた時もあるけど、仕事は一カ所に座ってじっくり書くというものではなく、複写伝票も多いし、小さい文字が必要となる事も多くて、そういう実用性を考えるとボールペンになった。無理して万年筆を使う事にダンディズムを感じなくもないが、とりあえず今はボールペンと思っている。尚、ボールペンを始めたのはここ数ヶ月なので素人なのをご了承ください。。。

ボールペンはどうやって選ぶか
ボールペンは万年筆と違い、書き味の80%はリフィルで決まると思う。万年筆は本体とペン先がほぼ一体もしくは同じ物と考えていいが、ボールペンは中身を取り替えるだけで色も太さも書き味もすぐ変えられる。それを考えると、ペン先も含めた値段の万年筆が数万するのは納得できるが、同じ何百円のリフィルを使ってるのに軸だけの値段で数千円から数万円する高級ボールペンというのは、やや納得しにくいかもしれない。が、実用性を考えるとボールペンになってしまう。

リフィルについて
リフィルは普通は軸と同じメーカーのを選ぶが、これにはある程度の互換性がある。以下のものは、ほぼ共通に使えるらしい。
Parker:Aurora、Conway Stewart、Delta、Dunhill、Faber-Castell、Montegrappa、Pelikan、Porche、Rotring、Stipula他。(筆記具のページ(C)おじさん:list25.shtml(46))
ここで思うのは、上記のメーカーは本当にそれぞれ自社でリフィルを作っているのか、ということ。例えばカルティエやブルガリもボールペンを売っているが、リフィルは作ってなさそうだ。上記でも、もしかしたら小さなメーカーや万年筆メインのメーカーは、パーカーのリフィルを買って、自社のブランド名を書いて売ってるだけなんて事がありえる。そうなると、リフィルのメーカーを変えて書き味の違いを楽しむ、なんていうのは全然意味ないことにもなりえる。

リフィルには太さでF(Fine)、M(Medium)、B(Broad)があり、色では黒・青・赤がある。黒なら大抵の太さがあるが、他の色ではMしかないなんて事もありえる。例えば、クロスでは普通のボールペンの替芯は、黒と青はF/M/Bがあるが、赤ではMしかない。モンブランでは黒F/M/B、青M/F、赤M。ただし、前述の互換性のあるリフィルのメーカーの場合は、他社のリフィルを使うことで、やや使える範囲は広がる。全体として、黒や青ならFからMまであるが、赤はMしかないと思った方がいい。赤もあまり一般的ではなく、例えばパーカーは赤のリフィルは作ってないようである(2000年のカタログにはなし)。
万年筆でもそうだが、良い書き味=滑らかとするなら、ボールペンも字は太い方がいい。ただ太いとインクが出過ぎて汚くなること(ボテっていうの?)もある。昔は、ボールペンで長々書くときはいらない紙を置いといて、たまにそこでボールペンの先を拭いたりしてたけど、今の国産のボールペンは高性能でそんな事は必要ないし、書き出しもきれいでカスレもない。細いやつでも書き味は良かったりもする。でも海外の高級メーカーのボールペンは、今でもそんな拭き紙が欲しくなるほど、あまり性能が良くないのも多い。僕は仕事柄、国産の使い捨てボールペンを貰う事が多く、百本以上あるけど、それを放置しといてあえてその国産数百本分の価格の海外メーカーのボールペンを買ったりする。これぞ趣味の世界で、実用ではない。でもその趣味の道具が、日常の仕事場でも使えるというのは面白いと思う。だから、高級筆記具(ボールペン)は、そこそこ実用性のある趣味だと思う。

リフィルの寿命は、正式には知らないけど2〜3年らしい。それくらいでインクが固まってしまい、書き味も悪くなるのだろう。因みに僕は'90頃ののパーカーのボールペン(JotterとInsignia)をその時のリフィルのまま持ってて、数年ぶりに使ったらずいぶん書き味が固くて書きにくかった。ただし、それらは買ったときから既に書き味が固かったので(太さは標準のMだった)、最近JotterはパーカーのB(青)、InsigniaはAURORAのM(黒)に変えたら良い感じになった。書き味は本当に人それぞれ好みによる。僕は柔らかい方が好きで、できれば万年筆みたく筆圧をかけなくてもヌラヌラ書けるのがいい。JotterでBというのは合っている。ノック式は咄嗟に取り出してすぐ書けるのがいい。Jotterは全然高級じゃなくて、実用という感じでごく普通に使える。Insigniaは、一時Bを入れたら柔らかすぎて合わなかった。こっちは回転式でプラスチック部分がなく全部ステンレスで細身。だからしょっちゅう使うというよりも、スーツの内ポケットに入れといてたまにメモする程度だから、Mの書き味がちょうどいい。ちなみにAURORAのMのリフィルは、AURORAのイプシロン(黄)を買ったときに入ってたやつ。このAURORAには、今はFABER-CASTELLのB(黒)を入れている。これまたノック式で実用品なので、Bでどんどん書く感じでいいと思う。と、このように、リフィルのメーカーや太さや色を変えて楽しめるのもボールペンのいいところ。逆に軸ごとの個性は薄れるかもしれないけど、自分で軸に合ったリフィルを入れるというカスタマイズができるし、変えるのも簡単である。

ローラーボール
ローラーボールというのは水性ボールペンのことである。詳細はゼブラのぺージのココを参照、最近は水性といっても顔料インク(ゲルインク)が多いみたい。字や書き味が万年筆に似てるし(インクも同じようなものを使っているのか?)、それでいて複写伝票も書けて良い。僕は受験前にはひたすらこれを使っていた。これに対しいわゆる普通のボールペンは油性ボールペンである。一般的に、油性は水には強いが光に弱い。水性は逆。でも最近は、いずれも強いインクが開発・実用化されてるのかもしれない。水性ボールペンはさらに、インクの減りが油性よりもずっと早い。でもそれで困る事はなく、むしろ使い切るという達成感が出やすい。
国産では水性ボールペンというと100円程度の使い捨てのがほとんどで、特に三菱鉛筆のSignoは色・太さ各種出てて、安いけど書き味は素晴らしい。これに対し、海外ではローラーボールというのが一般的なのか、アウロラ・クロス・モンブラン・ペリカン・シェーファーの高級なラインにもローラーボールというのがある。ローラーボールはノック式や回転式のはほとんどなく、大抵はキャップ式である。クロスではセレクチップローリングというタイプの軸で、中身がローラーボールやドキュメントマーカー(いわゆる蛍光ペン)、ボールペンなどに変えられるシリーズがある。 パーカーは最近ジェルインクという、一般的な油性ボールペンのリフィルに使える水性ボールペンのリフィルを出した。書き味もなかなか良いらしく、使ってみたいものである。これがノック式や回転式のボールペンで使えるということは、キャップで密封しなくても乾いて使えなくならないということか。
水性ボールペンタイプのもので、加圧インクというものもある。普通のボールペンは重力でインクが出てくるが、これはインクが密閉されていて圧がかかっており、中から押し出すもの。国産ではゼブラ・パワータンク(1000円)。太さは0.7mmと1mmがある。0.7mmのをしばらく使った。ボディはスケルトンで高級感はないが、グリップ感は良い。書き味も良い。海外では加圧インクはシェーファーが有名で、宇宙にも持っていったモデルが売ってる。加圧インクだと下向きでなくても書けるし、インクの出が悪くなりにくいと思う。ボールペンは先を上向きにしてずっと置いといたり、胸に付けてたりするとインクがボールから離れてしまって出が悪くなることがありそうだが(確認はしてない)、加圧だとそういう事もなさそうだ。個人的には水性ボールペンか加圧ボールペンを実用の中心にしたいと思っている。


ボールペンをどこで買うか

デパートは近くにあって便利だしアフターサービスもしっかりしているが、基本的に定価販売である。キムラヤ・ドンキホーテといったバッタ屋系は確かに安いが(平均30%引きか)、サービスは期待できないし、在庫も不定、もしかしたらモンブランなんかはニセモノもあるかもしれない。インターネット通販は安いし在庫もあるが、実物を触れないため買ってみたらどうも違う、ということもありえる。いちいち送料もかかり、サービスはあまり期待できないだろう。ただ、パソコン等の機器と違い基本的に構造がごく単純な道具であるため、故障やサービスはそれほど気にしなくていいかもしれない。自然に壊れたなら、保証書でもあればデパート等からメーカーに出せば無料で修理してくれそうだ。
モンブランは今後高級路線となり、筆記具以外も作り、またデパート等にしか卸さなくするらしい。値段は定価販売のみとする、なんていう噂を聞いた。おそらくカルティエやダンヒルを目指して、高級小物屋になりたいのだろう。万年筆の品質も、以前より落ちたと聞く。万年筆については、高い限定商品で売ろうという姿勢も伺える。世界中にコレクターがいるからそれでも売れるだろうが、どうもやや違う方向に進んでいるような気もする。


ローラーボール(水性・ジェルインクボールペン)リフィルの互換性2002.3.2

前述のように、僕はローラーボールを中心に使っていて興味もあるので、このリフィルの互換性について調べてみました。
●【CROSS】ATX Collection Pure Crome セレクチップローリング885-2
テカテカの鏡面仕上げのつるんとしたペン。つるつるすぎて、書くときに外したキャップを胴軸の後ろに差してもすぐ抜けてしまうので、仕方ないから机の上に放置することにしている。前述のように、セレクチップローリングのため、純正のリフィルはローラーボールの他に油性ボールペンとドキュメントマーカーがある。純正のローラーボールリフィルはこれまでに3本使用、買ったときに付いていた黒は数日で出なくなってしまい、クレームで交換してもらった。その後の黒と青は調子良い。太さは普通、0.7mmくらい?書き味は普通。インクの減りは、週2〜3日使用で3週間程度か。
適合リフィル
【三菱】UMR-85,87(uni-ball Signoノック式のリフィル)
【ゼブラ】JF-0.5,0.7(サラサのリフィル)
【パイロット】KFR5
僕は三菱のSignoノック式のリフィルであるUMR-85(ブルーブラック)しか試してないけど、どれもぴったりはしないと思う。これらのリフィルは純正のものより2mm程度長く、合わせるためにはリフィルの後ろを切る必要がある。それでもペン先のところがちょっと合わなくて引っ込んでしまい、ちょうどミグ-21の先端ぽくなってしまう(わかる?)。どうもクロスは、リフィルの汎用性があまりないような気がする。ただ、Signoのを転用すればローラーボールでブルーブラックが使えるというのは良い。ブルーブラックはSignoしかないようだ。ただ、サラサは本体100円、リフィル80円と安い。

●【AURORA】イプシロン・ローラーボールB71(イエロー)
これはアウロラのイプシロンのボールペンを持っていたから、なんとなくお揃いにしようと思って買った。軸はやや太めだが、ごく普通のキャップ式ローラーボール。純正リフィルはやはり普通の太さで書き味はなかなか良い。まだ純正リフィルはあまり使ってない。
適合リフィル
【三菱】UBR-300(307?)、UMR-85N(ユニボールシグノ/UMN-152・UMN-105用替芯)
【パイロット】LGRF-15F、LG2RF(G-knockやG-2のリフィル)
アウロラのローラーボールはごく普通の汎用性の高いリフィルを使っているので、上記いずれもそのまま使える。UBR-300というのは300円もする。国産の安い水性ボールペン用とは違う金属製のもの(買ったのは307という0.7mmのもの。詳細は不明。何用のリフィルなのか?)だけど、書き味はそれほど良いとは思わない。細かい字にインクが追従しない時があるような気がする。UMR-85Nは末端のフタを、パイロット等の別のリフィルから移植する必要がある。それをはめれば長さがちょうどよくなる。
パイロットG-2(ノック式)やG-knockはメジャーな製品で、わりとどこでも売ってるからリフィル入手は容易そう。しかも太さは0.5、0.7、1mmと選択の幅が広い。しかし色は黒青赤緑しかない。ブルーブラックはなかった。太い方が書きやすいという原則に基づいて1mmのG-knockを買ってリフィルをアウロラに入れて使ったが、1mmではやはり太すぎるようだ。インク垂れ流す割には、万年筆のような滑らかさ、切れ味はないといったところか。パイロットはリフィルだけ買うと80円、G-knock本体ごと買っても100円と安くてよい。ちょっと疑問なのは、G-2とG-knockは値段がそれぞれ200円と100円だが、どこが違うのか?




リンク集

Pensite net
ペンのインターネットショップ。カタログに載ってるほとんどの商品を扱っていて、本当に全部あるとすればすごい在庫。このページ自体がカタログのように、眺めていて楽しい。値段は安い。

筆記具コミュニティ
筆記具の個人HP。相互リンクとさせて頂いています。掲示板も充実。




参考図書
筆記具の本というのは本当に少ない。特にボールペンの本など、ほとんどないと思う。
時計やカメラの本・雑誌は山ほどあるのに。海外ではある程度あるらしいので、日本ではまだ高級筆記具や筆記具という趣味自体があまり一般的ではないのだろう。筆記具というと墨・筆という世界もあり、やや広範に過ぎるのかもしれない。

THE PEN CATALOGUE 2000
非売品。デパートのペン売り場で何回か買ったら懇意になった店員さんがくれた。海外のメーカーとその商品がほとんど載っているようなカタログ。一般には売ってないが、日本輸入筆記具協会(http://www.pen.gr.jp)に2000円分の切手を送ると貰えるらしい。毎年出る。

文房具を買いに  片岡義男/東京書籍
銀座伊東屋で衝動買い。片岡が自分の各種書斎道具をぱちぱちっと写真に撮って書いたエッセイ。マニアックな目的の本ではないが、雰囲気は伝わる、それが目的。
ともかくBiCは良いね。フランスのボールペン会社だけど。安物なのにこれほど味があるのは、アンディ・ウォーホールがデザインしたキャンベルのスープ缶か、マネやピカソも描いたバス・ペールエール(イギリスのビール)の瓶みたいなものか。だがMOMAに置かれちゃったAURORAみたいなのとは、根本的に違う。あたりまえの安心するデザインなのである。
多色ボールペンは、80年代初頭までは輸入品のこのBiCのしかなかったような気がする。緑とか特に、すぐ出なくなるから性能的には国産品にかなわないと思われる。柄が黄色い、キャップ付きのヤツもすごくいい。が、あれはキャップをなくしそうで。BiCが単色ノック式を出したら、どんなものになるんだろうか。





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