「箱庭の小人」 山田小6年 |
8月 2日 ヒトモドキ達は今日も元気だ。新たに2匹 生まれ、これで30匹になった。卵は全家屋あ わせて今は13個だ。最近は彼らの言葉がわか るようになって僕がアダム・イブと呼んで いた二人は、ほら穴の奥にうめられてい事が わかった。初期型は成長が早い分、死ぬの も早い。 家族構成は大人が18匹、子供が9匹、幼児 が3匹だ。(彼らもホ乳類だ) 彼らによると、人類はカル、セブ、ポルの 3種族に分かれているそうだ。カルはE3、 セブはI9、ポルはC2を中心として集まって いる。カルは大光、セブは神の船と呼ばれ る石の上にサンマの骨、ポルは、つまりぼく と交信している相手は、何と創造主(グル)と いう名でぼくを呼び、それぞれそれを神として あがめているらしい。(ポル=セプ=ムルタイ はグル教以外は邪教だといっているが) ポル=ムルタイは創造主との交信を終えた まだ、創造主の姿を見たことはない。光る物体 から聞こえてくる声を聞いたことがあるだけだ。 しかし、ムルタイは絶対の信頼を創造主に おいていた。なぜなら、我々を創ったのだから。 以下略。 |
東京先生のアドバイス |
「箱庭の小人」 長い物語をさいごまで書ききっているのがよい。 なかなか大変だっただろうと思う。 この話のポイントは、箱庭に小人を飼って観察して いると、そこの歴史が生じ、文化が生まれる、という点だ。 そして、観察者は、創造主として、神となり、 あがめられる、という文化性を物語っている。 つまり、ここから思うことは、我々人間もこの小人 たちと同じように、箱庭に育てられているのかも しれず、観察者のことを神だと感じているのかもしれない、ということだ。 そういう、考え方の逆転がしかけられていて、 それこそが、SF的な考え方というものなんです。 おもしろかった。 |