’98Jリーグチャンピオンシップ 第1戦
ジュビロ磐田vs鹿島アントラーズ 国立競技場 98/11/21

 Jリーグチャンピオンシップ。J1参入戦を争っているようなチームを応援している私にとってはしばらくは縁のない試合だと思っていた。今回はチケットが1枚余っていることを聞き、遠征試合がメンバー不足のため中止になったこともあり、見に行くことにした。といっても、個人的にはどちらを応援しているというわけではないのだが、一緒に見に行くメンバーが鹿島サポのため、多少は鹿島側になることになる。
 しかし私はこのように国立へはチケットを譲り受けて見に行くことが多い。数多く行った中でも自力でチケットを獲得して見に行ったのは半分くらいかもしれない。それほど周りのメンバーには恵まれているのかもしれない。
 話はそれてしまったが観戦記である。当日は国立競技場近くのユニコーン像を待ち合わせ場所として集合した。駅周辺には適当な目印がないため、ここだと周りも広く、像も大きいのでわかりやすい。ここで集まってチケットを分配する。そのまま国立まで直行となる。
ジュビロ側サポーター

 中に入ると開始1時間前なのでかなり人が入っている。私以外の3人はグッズ売場に向かったが、私は先に席に向かう。今回は指定席なので急ぐ必要もないのだが。席はアウェー鹿島側サイドとメインスタンドの中間くらい。コーナーキックが見やすい結構前目の席である。
アントラーズ側サポーター
 観客の割合はジュビロ側6鹿島側4というところか。この試合はジュビロホームといっても場所が国立という中立地帯であるため、どちらのホームという感じではない。鹿島の垂れ幕にも「我々のために国立で開催してくれてありがとう」という感じのメッセージもある。昨年のチャンピオンシップの時磐田スタジアムに入りきれなかった人から苦情が出たための処置であるとのことで、さらに今回は興行的なことを考えて、国立開催にしたのかもしれない。鹿島スタジアムがW杯用の改修工事のため国立開催にしようとしたとき、あえて工事を延期させて鹿島スタジアムにこだわったのとは対照的である。本当にこの決断が良かったのかは分からない。
メインスタンド観客
試合開始前セレモニー

 試合開始である。実はこの2チームの試合というのはTV中継でもよく見たことがない。だから現状のJリーグのトップチームの実力は肌で分かったいなかったのかもしれない。メンバー的には日本代表やブラジル代表などの経験者が多いため個々のプレースタイルは把握しているつもりであったが、新たな驚きがあった。こんなチームが相手ではうちのチームがそうそう勝てるわけはないなと思いしらされた。パス回し、状況判断、トラップ、体の使い方、相手選手への寄せ、どれをとっても1枚上手だ。これでは大量失点してしまうのも無理はないと思った。ほんとに何でここまで差ができてしまったのだろう。
 試合は開始から白熱したものになる。中盤での狭い局面での争いは激しい。昨年のアントラーズが試合を制して、ジュビロが引き気味になるというのはなく。どの局面でも互角である。どこに死角があるわけではない。1点を争う試合になる。だがジュビロには不安要素が多い。守りの要のアジウソンのけがにより、出場できず、復帰が厳しいとみられていた田中も、怪我を押しての出場である。プッツン鈴木とのコンビで守りきれるか。さらに中盤の要である、闘将ドゥンガも今ひとつ覇気がない。辺り構わず怒鳴り散らしていた元気さが無くなっている。さらに1戦目なのにほぼ中山のワントップ気味の布陣も気になる。
 対してアントラーズは上り調子である。メンバーはほぼベストな状態であり、さらにビスマルクの切れがいい。中盤のジョルジーニョ、本田のボランチ復活も大きい。
 それにしてもお互いに速いパス回しだ。ほとんどがショートパスなのだがまるっきり次の展開が読めない。自分自身が早さについていけていないのがくやしい。
 先制はジュビロである。コーナーキックに鹿島の選手がハンド。どこからでもわかるようなあまりにも不用意なハンドのためすぐにPKとなる。ここででてくるのは得点王ゴン中山。数年前では蹴らせてもらえなかったかもしれない。だが、ギネスブックに載ることになった4試合連続ハットトリックなどここ最近の成長には驚く面がある。今や代表でもPKを蹴るようになってしまった。
 ジュビロの早い時間での先制に、鹿島はまだ慌ててはいない。前半は1−0のまま折り返す。

 後半はさらに鹿島の勢いが増す。中山が秋田にきっちり押さえられているため前線での起点が作られない。さらにジュビロの守備の不安点が露出しだしてきた。ほころびがほどけ始めた。鹿島得意のセットプレーから秋田のヘッド炸裂。きっちり合わせるビスマルクのキックと秋田のポジショニングの勝ちである。

 1−1のまま引き分けで終了かと勘違いしていたが、ちゃんと延長があった。帰ってしまうところだった。話がすり替わるが個人的にはリーグ戦での延長Vゴール方式は反対である。必ず勝ち負けを決める戦い方が、今の日本代表の攻撃にも現れている感じである。つまり勝っている場合でも得点差や相手の状況に応じた戦い方をせず、常に攻め続けてカウンターを食らいやすい状況を作ってしまう。攻めるところは攻めて、守るところは守る臨機応変さがほしい。
 最後は秋田のヘディングのこぼれ玉を鹿島がつないでVゴールとなった。白熱した試合の劇的な勝利であった。

鹿島サポ大いに沸く

今回の観戦者たち(チケットありがとう)