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世界ミステリ全集

早川書房 1972-02〜1973-09


 これまでの大系全集にありがちだった「黄金時代中心の作品選定」をやめて、黄金時代後のミステリの中からあらたな大系を作ることが、企画意図として明確にうちだされている全集である。ほぼ同時期(1972-04〜1973.04)に、講談社から【世界推理小説全集】が発行されているが、これが黄金時代の古典ミステリを並べたものだったのに比べて、その選定内容には新鮮な驚きがあった。最終巻の『37の短篇』にしても、江戸川乱歩の『世界短編傑作集』(東京創元社)の後を継ごうという意図があきらかである。

 単に既訳をまとめたのではなく、一人一巻を構成する巨匠はその最新作の新訳を入れたり、当時は手に入りにくい旧作が入っていたりしたのも「お買い得」感があった。。クイーンの『最後の女』、ガードナーの『すばらしいペテン』、クリスティーの『フランクフルトへの乗客』、アンブラーの『インターコムの陰謀』、ロス・マクドナルドの『一瞬の敵』はこれが初刊である。

 また、解説に毎回ゲストを呼んで座談会を行うのも好企画であった。座談会の内容も興味深いものが多く、これだけでもまとめて本にする価値があると思うぐらいだ。

 この全集にディクスン・カーが入っていないのに苦言を呈する向きもあるようだが、1970年代当時、カーは完全に過去の作家と思われていたから、入れる必要はなかったと、わたしは思っている。じゃあ、クリスティーやクイーンはどうなの?といわれそうだが、この二人は当時まだ、ミステリに新しい寄与をするのではないかという、いくらかの期待はあったのだろう。(もちろん、売れる売れないの判断もあったはずである)

 ともあれ、海外ミステリではこの全集が、国内ミステリでは講談社の【現代推理小説大系】(全20巻/1972〜1973/別巻2は1980)が、全体を総括するようないわゆる大系全集としては最後の企画であった。


 

1 アガサ・クリスティー集

2 E・S・ガードナー集

3 エラリイ・クイーン集

4 コーネル・ウールリッチ集

5 レイモンド・チャンドラー集

6 ロス・マクドナルド集

7 エリック・アンブラー集

10

11 エド・マクベイン集

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18 『37の短篇』 石川喬司=編


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