21世紀の輸送手段 (故岡田至弘氏に)

by KAZUHIRO SHIMOURA

Feb. 20, 2000

 

現在のエネルギー大量消費型の文明を維持するには、石油依存型のエネルギー形態から、より永続的なエネルギー源への転換を早急に図らねばならない。輸送用エネルギー以外では電力が使えるから、資源の多様化への対応は比較的容易である。現在でも、原子力、ガス、石油、石炭、水力等、多くのエネルギー資源が発電に用いられている。

 

現在の発電における石油依存度は10%程度であり、1973年の石油ショック当時の70%に比べて大幅に低下している。石油が枯渇しても(ウランや液化天然ガスの生産、輸入が可能ならば)取り敢えず発電はできるのである。

 

問題は自動車輸送である。私が小学生の頃、日本は高度成長期にあったが、社会科で物資の輸送が鉄道からトラックに変遷する様子を習った記憶がある。港のトラックターミナルが我々の生活を支えているのである。もし、ガソリンが枯渇するなら、時計を逆転させて鉄道輸送に切り替えるか、別の輸送手段を開発するしかない。

 

電気自動車や天然ガス車、水素を燃料とする燃料電池車などが開発されつつあるし、燃費の良いハイブリッドカーは既に市販されている。この分野の研究開発、普及促進を図る事は、環境問題のみならず、近い予測される石油ショックの衝撃を緩和する上で非常に重要である。

 

現在の農業生産は、植え付けや刈り取りに機械をつかっているが、これらに使われる燃料はそれほど多くないので、食料生産は可能であるが、海外から船で輸入することは困難になる。日本初の原子力船「むつ」は解体されたが、原子力船はいずれ復活させる必要があるだろう。

 

現在の社会システムは、宅配便など余りにガソリンに依存したものとなっており、石油ショックに対する備えが出来ていない。私はエネルギーだけでなく、環境、安全といった面から「オール電化都市」の実現を指向すべきだと考えるが、そこに至るまでのエネルギーシステム転換、特に輸送システムについてのシナリオを詳細シミュレーションしておく必要があると思う。

http://ss5.inet-osaka.or.jp/~utlosaka/

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