少子化対策について(一夫一婦制は正しいか?)

by  KAZUHIRO SHIMOURA

Mar. 27, 2000

 

少子化が問題となっている。女性が平均して産む子供の数は1.5を割り、このままでは日本の人口が減るそうである。それで年金財政が維持できなくなるとか、労働力が不足するので海外からの移民を受け入れるべきだ、とか議論されている。特に高学歴の女性程、結婚しない傾向があるため、国民の知的水準を気にするシンガポール政府などは、あからさまな出産奨励策など打ち出している。

 

社会が豊かになると女性は気に入らない相手との結婚を拒否する権利を持つようになる。社会が貧しいと、どうしても財産に目が眩みがちになる事は古来、文学作品などにも描かれている。最近もバブル華やかなりし頃、不動産業者と結婚して失敗した女優などが週刊誌を賑わせていた。本当に豊かであれば、そのような男に引っ掛かる必要も無いのである。

 

結婚相手を自らの本能により選別するという作業は、ホ乳類に限らず、鳥類とか昆虫とか、恐らくどんな生物でも繰りかえしてきた基本的な営みである。これはより良い遺伝子を未来に引き継ぐという、人権以前の生命の本質的な責任に関わる問題である。未婚率が高まっているのは、仕事をしたり、子供を安心して育てたりする環境が整っていない事も問題であるが、それ以前に、結婚したくなるような魅力的な男性が周囲にいないか、いても既婚である事が問題なのである。その場合、彼女らは安易な妥協はせず、遺伝子を残さない道を選択をするようにプログラムされているようなのである。

 

一夫一婦制が普及してから結婚に対する緊張感が無くなった。現在では、女性を巡って男性が決闘するなどという事はめったに起きない。危険を冒さなくても、平均して女性が一人回ってくるのである。イスラム教のような世界だと男性はウカウカすると結婚できなくなる可能性があるだろう。一夫一婦制では、女性の方でも結婚してしまえば他人に取られる心配が無いから、自らを磨くことをやめてしまう。そして恋愛と結婚とは別、とかウソブクのである。

 

一夫一婦制は西欧キリスト教文明の考え方でしかない(モルモン教は別であるが)。生物学的に考えても不健全な思想だと思う。日本では少なくとも平安時代などは一夫一婦制ではなかった。それが男女間に緊張感をもたらし、源氏物語や百人一首など世界に誇る文学作品を生みだしたと考えるのは間違いだろうか? 千一夜物語の世界を考えても一夫一婦制の規制を緩和することが少なくとも文学作品にはプラスの作用を及ぼすことは真実であるように思う。

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