インターネット時代の教育の権利と義務


Feb.10, 2000

By KAZUHIRO SHIMOURA

 


すべて国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利と義務を有する。

すべて国民は、その保護する子女に9年の普通教育を受けさせる義務を負う。

(憲法第26条)

すべて国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受け、かつ次の世代に授ける権利と義務を有する。

(新憲法第26条)

 

最近、東京で幼稚園受験に伴う幼児殺害事件や、京都では21歳の若者による小学生殺害事件など教育にまつわる悲惨な事件が相次いでいる。小学校でのイジメ、学級崩壊、不登校なども頻発し、先生の質、家庭での躾、など公的教育に関する相互不信が蓄積されつつある。

 

現在の憲法は、教育を受けたくても経済的に困難な人が多数存在した時代に書かれた。したがって教育を授ける権利については何も触れられてはいない。私は「次の世代にどういったメッセージを伝えていくか?」という教育を授ける権利を国民一人一人が負っている事を明記すべきであると考える。現在の社会システムをより良いものとして次の世代に引き継いでいく事こそ日々の仕事の本質であると思うのである。

 

すべての動物は子供達に餌の取り方、身の守り方など生きていくための基本的な教育を行っている。我々も自らの知恵と経験を、我が子だけではなく広く次の世代全体に伝えていくべきである。もし我々が日々の活動において、これは子供や孫の世代にとって良いことか、を判断基準として行動したならば、無駄な仕事や多くの不祥事は解消されるのではないだろうか?それが職業人の最低限のプライドというものである。

 

インターネットは教育において大きな可能性をもっている。学級日誌はメーリングリストになるだろうし、子供達は心配事を電子メールで先生に相談するかも知れない。また教室からインターネットを通して、彼らが巻き込まれようとしている受験競争のゴール付近の様子や、お父さんの会社の様子をうかがうこともできる。かれらは、これから生きる社会をよりビビッドに感じるのであり、それは秘密のベールに閉ざしておくべきものではないと考える。かれらは、彼らの生をよりよく生きる権利と義務を有するのであるから。

 

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