中央集権的統合社会から自立分散的協調社会へ

(ネットコミュニティー連係の可能性)

Apr. 15, 2000

 

標準語の普及と東京への一極集中にNHKが果たした役割は大きい。現代では情報発信力が組織の社会的存在価値を規定している。学校ではNHK教育TVの小学3年生などの番組が授業で使われている。地方在住の若者には東京に出ないと人生が始まらないと思い詰めているものも多い。中央集権的情報発信構造が価値観の画一化をもたらしているのである。情報の流れを逆転しない限りこの傾向は変わらない。 

 

開発すべきグループウエアは次のようなものである。人間の知的活動を「発表」と「議論」および「表彰」から構成されると考えよう。それぞれ、ウェブ、メーリングリスト、および電子投票機能で実現できる。それらを補完する機能として、ウェブメール、ビデオオンデマンド、TV電話、さらには電子商取引などの機能がこれに付加される。

 

重要なのは、このグループウエアが導入されたサーバが互いに連携され、全体があたかも一つのサーバのように機能する点である。この機能により、他の都道府県や海外に友人を作ったり、姉妹提携したりすることができる。全体が一つの学校のように機能し、田舎の分校や小さな私塾の生徒も孤独から解放されるのである。全国の学校の生徒が協調して流星観測や桜の開花、酸性雨などの共同研究をするのは楽しいと思う。

 

インターネットはリンクにより複数のサーバに分散されたHTMLファイル群をあたかも一つの情報空間のように移動、検索できる点が画期的であった。NapsterはMP3ファイルに対して同様の機能を持つ。コンテンツ、MLには多段階のアクセス権を設定し、アドレス、パスワード等で保護する。クラス、学校内、学校間、PTA、塾予備校、社会一般、等々である。検索機能を付加することで全体としての情報統合、共有化が図られる。

 

学校と社会との接点については難しい問題もあるが、基本的には広く解放すべきだと考える。子供達の描いた絵や、夏休み自由研究の成果は、広く社会全般に伝えられるべきである。これを実現する組織のビジネスモデルとしては、サーバの販売、ネットワークへの接続、グループウエアの設定、ホームページデザイン、教材の開発販売、等々になるだろう。さらにキャンパスLANの設計、構築、利用教育などもビジネスになる。

 

学会、企業、自治体、NGO、趣味サークル、などでも少しモディファイすれば、このグループウエアを活用することができる。これら組織の目的は、国際社会で活躍できるビジネスマンの育成であったり、研究開発の効率化であったり、人生をより豊かなものとするためであったり、様々である。インフラの標準化と参加者の数が、社会的影響力の源泉となる。地域情報化においては、地図をポータルとした分散型地図データベース構築なども有効であろう。TCP/IPを共通プロトコルとしたLANの連係がインターネットをもたらしたように、その上に発生したコミュニティーの連係が新しい社会をもたらすのである。

http://www.egroups.com/
http://www.napster.com/
http://www.digitalcity.gr.jp/openlab/kyoto/index-j.html 


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