電力ネットビジネス

by  KAZUHIRO SHIMOURA

Feb. 21, 2000

 

情報ネットビジネスが新聞を賑わしているが、かつて電力ネットビジネスにもベンチャーの時代があった。100年くらい前の話である。登場人物は、福沢諭吉の娘婿である福沢桃助とか、阪急をつくった小林一三とか、電力の鬼と呼ばれた松永安左エ門とか、当時を代表する起業家たちであり、幾分山師的な所もあったりして、現在のネットビジネスの起業家たちとも相通ずるものがある。

 

ところで、電力ネットワークでは1日24時間の常時接続サービスや、お客様サポートサービスなどあたりまえに実現されている。夜中でも2時間以内に停電を復旧しないと長時間停電事故として原因を分析した資料を揃えて本店に説明に行かねばならない。各営業所には常時4,5名が停電対応や料金回収を目的として宿直している。お客様端末の自由化なども、とっくの昔におこなわれ、巨大に成長した電器メーカーと多種多様な家電製品が日常生活を潤している事は通信ビジネスの比ではない。

 

この状況はインターネットの発達とともに大幅に変わるだろう。ネットでの証券、銀行業務なども出てきているが、それには高信頼度の情報ネットワークが必要である。さらにブロードバンドが普及して映像伝送などやりだすと、医療、教育、娯楽など広範なコンテンツサービスが可能となり、それに伴って膨大なソフト産業が発達するはずである。すなわちマイクロソフトのような巨大なソフトウエア会社が日本にも複数出現するだろう。

 

最近はNTTも電力会社も家庭まで光ファイバーを突っ込むFTTHを指向している。光ファイバーというのは資源的には銅線よりも安価であるから、その気になれば実現できない事ではない。要は機材や施工方法を標準化して人海戦術でやれば良いのである。これができるのは、NTT、電力、地方自治体である。光ファイバの容量に対応した通信端末は、現在は高価であるが、量産効果や半導体技術により価格低下が進むはずである。

 

インターネットマガジンの付録に毎月インターネットの系統図が付けられているが、5年前に較べて最近は非常に複雑なものとなっている。ルーターのインターフェースが45M程度と高速でない事もその原因であるが、2.4Gとか10Gとかのルーターも開発されているので、やがてインターネット系統も電力系統のように整理されるものと考えられる。

 

http://www.tcp-ip.or.jp/%7Eishida96/symposium_e/fujimura.html

 

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