21世紀のエネルギー源(石油からの脱却)

by KAZUHIRO SHIMOURA

Feb. 20, 2000

 

産業革命以降の文明は、石炭や石油など化石燃料の大量消費により支えられている。石油資源は21世紀中に枯渇すると考えられるが、このような化石燃料に依存した文明は持続可能でない、という意味において一種のバブルと言うことができる。

 

石油の後、天然ガスや石炭でいくらかしのげるだろうが、自動車や飛行機をそれらで動かすには、まだまだ技術開発が必要である。石油ショックがいきなりやってくれば、エネルギー転換の時間がとれずに生活がマヒする可能性もあるだろう。

 

核融合は、ITER(国際熱核融合計画)など新聞を賑わせているが、これは炉心に投入する電力に見合った出力の中性子線が得られる、というもので、これを電気に変換する技術や、炉壁の劣化、放射化を防ぐ技術など、ほとんど手つかずだと言ってよい。すなわち核融合が将来のエネルギー源となる技術的見通しは全く立っていないのである。

 

高速増殖炉(FBR)は現実に発電している、という点において核融合よりもはるかに進んでいるが、冷却剤に金属ナトリウムをつかう必要があり、いろいろトラブルも起きている。また使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出す技術にも不安があるが、私は無資源国日本における将来のエネルギー源としてFBRに期待している。

 

地熱というのは、地核やマントルに含まれる核物質の分裂により発生するエネルギーという意味で一種の原子力エネルギーである。とにかく地中奥深くには千度を越える巨大な熱源、マグマが存在するのであり、これを活用することは地表に生えるコケのような存在である人類にとって、ふさわしいように思われる。 風力、太陽光などの自然エネルギーも期待されるが密度や安定性に難があり、日常生活で使用するのは可能としても、工業生産や都市を支えるエネルギー源としては限界があるように思われる。

 

という事で、化石燃料枯渇後の最終的なエネルギー源は、高速炉、地熱、風力等の複合された形態になると予想される。移行期には天然ガス、原子力、石炭などが使われるだろう。いずれにせよ、我々はガソリン車からの脱却を早急に図らねばならない。石油危機が21世紀初頭にくる、という予想もあるからである。

http://dieoff.org/page140.htm


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